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2018年09月27日

「大切なこと」を伝えないのは違反!(No.4)

新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 「うそを言ってはいけない」という特定商取引法(以下、特商法)の大原則については、理解されている方が大半でしょう。
では、「大事なことについて本当のことを隠してはいけない」という特商法の規定はご存知ですか。

勧誘のさい、大切なことを故意に伝えなかった場合は、「重要事実不告知」といって、法律違反となり、厳しい行政処分や刑事罰の対象になるのです。

 「重要事実不告知」による処分例は、これまでに多数あります。
近いところでは2016年3月に大手ネットワークビジネス(NB)企業N社が消費者庁から9カ月の業務停止命令を受けたケースで、「勧誘の相手方に対し会員登録料が必要であることを告げていなかった」ことが、重要事実不告知として、処分理由の一つとなりました。

 同年同月にNB企業M社が、東京都から9カ月の業務停止命令を受けたケースでもやはり、重要事実不告知が法律違反として認定されました。
同社の場合は、連鎖販売取引で利益を得るためには、1万数千円以上の健康食品を毎月購入しなければなりません。

しかし勧誘者はそのような負担をはじめ詳細な契約内容を説明せず、消費者は購入する商品の内容や金額など、契約の全体像や当該取引の負担を理解できなかったことが、重要事実不告知に当たるとされたのです。

■「重要事実」とは何か?

 では、どのようなことを相手に伝えないと「重要事実不告知」と判断されるのでしょうか。

 法律では以下のような事柄を列挙しています。
「商品の種類・性能・品質」「特定負担(商品の購入費用や入会金など)に関する事項」「契約の解除に関する事項」など。

 つまり「商品のことなんていいからとりあえずここにサインして」などと言って商品の種類や価格を告げずに契約を結ぶといった行為は、論外ということになります。

 クーリング・オフが可能であることや、中途解約時(ただし入会1年以内、商品引き渡し後90日以内)には未使用・未消費の商品を返品できることなども、しっかりと説明したうえで契約を結ぶようにしましょう。

そのような、販売にはひょっとするとマイナスになるかもしれないことを、きちんと説明する姿は、かえって相手からの信頼を得る結果につながると思います。

 相手が理解できるように伝えることも大切です。
せっかく重要事項を伝えても、後から「早口でまくしたてられたので、何を言っているのかよくわからなかった」などと言われては、元も子もありませんからね。

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