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2019年03月19日

長時間で執拗な迷惑勧誘はアウト!(No.8)

新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 2018年は、17年12月1日に施行された改正特定商取引法(特商法)にとって、事実上の"元年"とでもいえる年になります。

 規制強化の直後は得てして「見せしめ的処分」が増えるので、特商法上の違反が万が一にもないように、よくよく注意しましょう。

 さて、特商法の処分で問われることの多い違反に〝迷惑勧誘〟があります。
訪問販売や連鎖販売取引(ネットワークビジネス)では、「迷惑を覚えさせる」勧誘方法が禁止されており、処分の対象となっています。

 たとえば、連鎖販売取引では、「契約を締結しない旨の意思を表示している者に対し」「迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をすること」が禁止されています。

 では、どのような勧誘が「迷惑勧誘」と判断されるのでしょうか。
実際の事例を見てみましょう。

■「表情」を見極めよう!

 2017年12月に、千葉県のリフォーム訪販会社N社が、県から6カ月間の業務停止命令を受けました。
このときは、「相手方が契約の締結を断ったにも関わらず、執拗に勧誘を続けた」ことが違反に問われました。

 N社の販売員から差し出された契約の書面に対して、消費者は何度も断ったのですが、販売員が応じないため、仕方なく契約書に署名したのだといいます。
これでは違反に問われて当たり前です。

 行政は「契約しない旨の意思表示」について、「明示的に『いらない』『やる気はない』等と告げる場合のみならず、黙示的に契約締結を嫌っていることを示した場合を含む」と説明しています。
ですから、明示的に断られたときはもちろん、相手からちょっとでも嫌な顔をされたら、それ以上は無理に勧めないよう心掛けるべきでしょう。
相手の表情や態度をしっかり見極める努力が欠かせませんね。

■"心"を尊重した勧誘を

 2017年7月に関東経済産業局から3カ月の業務停止命令を受けたO社という訪問販売会社の事例では、「長時間にわたる勧誘」や「不適当な時間帯の勧誘」などが「迷惑勧誘」にあたると判断されました。

 実際の事例をみると、19時半ごろに喫茶店で始まった勧誘は、ホテルに場所を変えつつ23時過ぎまで続けられたということです。

 消費者はもうろうとした意識の中で契約を結んでしまったと主張しています。
正当な理由なく不適当な時間帯(たとえば午後9時から午前8時まで)に勧誘をすることや、長時間にわたって勧誘することは、やはり迷惑勧誘と認定されてしまうのです。

 消費者が嫌がる契約を無理強いしても、トラブルや返品につながるだけです。
それが行政処分につながる恐れも多々あります。
何より相手の〝心〟を尊重した勧誘を心掛けましょう。

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