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2020年04月28日

処分された数々の「迷惑勧誘」事例(No.20)

新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 今回は、「迷惑勧誘」について取り上げたいと思います。
というのも、迷惑勧誘を理由に処分を受ける事業者が多いからです。

2018年の1年間だけを見ても、10を越える事業者が「迷惑勧誘」と認定され、業務停止命令などの処分を受けています。
中には、連鎖販売取引の会社が業務停止を命じられたケースもありました。

 特定商取引法では、「迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘」することを禁じています。
ただ、「迷惑」というのは主観の問題で、どこまでが違反なのか、少し分かりにくいですね。

 そこで消費者庁などがまとめた特商法の解説書を見ると、より具体的に例示をしています。

たとえば、「正当な理由なく午後9時から午前8時までの間といった不適当な時間帯に勧誘をすること、長時間にわたり勧誘をすること、執拗に何度も勧誘すること」などが迷惑勧誘に該当するとしています。
つまり、深夜・早朝や長時間でしつこい勧誘はNGというわけです。

深夜・長時間は絶対ダメ

 では処分を受けた具体的な事例を見てみましょう。
愛知県が2018年3月に学習教材の訪販事業者に処分をおこなった事例では、販売員が午後10時過ぎまで3時間にわたる勧誘をおこなっていたことが違反に問われました。

 滋賀県が2018年12月に連鎖販売事業者に対して3カ月間の業務停止命令を下した事例では、難色を示した消費者に対して、会員が夜間・長時間にわたり説明を繰り返していました。

 「家に帰って考えたい」と告げた若者に対し、翌日の午前0時を過ぎるまで勧誘し契約させた事例もあったということです。

 2018年12月に静岡県が学習教材の訪販事業者に6カ月間の業務停止命令を出した事例では、販売員が2時間にわたって勧誘をおこなった後、「金額が高いので、うちの人にも相談したい」と言った消費者に対して、「相談はなしです。今じゃないとだめです」と告げたことが「迷惑勧誘」と認定されました。

迷惑と思わせたらアウト!

 埼玉県が18年12月に床下工事事業者に対して12カ月もの長期にわたる業務停止命令をおこなった事例では、「消費者が点検を断っているのに何度も勧めた」ことや、「消費者が見積書や契約書の作成を依頼していないのに書類の記載を始め、断りにくくした」こと、そして、「このままでは屋根が落ちてくるなどと消費者の不安をあおった」ことなどが、迷惑勧誘と認定されています。

 また、太陽熱温水器のある事業者は、断っているのに半ば強引に屋根に上り点検をおこなうなど、迷惑を感じさせる勧誘をしていたとして、埼玉県から6カ月の業務停止命令を受けました。

 以上、迷惑勧誘と一口に言ってもさまざまなバリエーションがあることが見て取れます。
ただ、明らかなのは、消費者に「迷惑」を感じさせてはならないということです。
十分に気を付けましょう。

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