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コンプライアンス の最近のブログ記事


新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 この連載では、行政処分の事例を取り上げる機会が多くありました。
今回は趣向を変えて、警察による〝逮捕〟に焦点を当ててみます。
健康関連商材を扱う企業・個人の逮捕は、実はけっこう頻繁に起こっているからです。

 2018年7月には、健康食品メーカーA社の社長ら二人が薬機法(医薬品医療機器等法/旧薬事法)違反で警視庁に逮捕されました。

 実はこの逮捕には前段がありました。
2017年の暮れに、A社の代理店B社の社長が、やはり薬事法違反で逮捕されていたのです。
ただ、この逮捕劇は、少しお粗末でした。

事実でも「治る」は厳禁!

 B社の社長の逮捕のさいには、警察からのリークがあったのか、逮捕直前に、テレビ局がカメラマンを連れて、この店社長を直撃しました。

そして、「この健康食品でガンが治るとか言っているらしいじゃないですか」
などとマイクを突き付けられたその代理店B社の社長は、なんとあろうことか、

「だって、ガンが治るんですよ。小さくなっちゃうんですから」
といったことをカメラの前で口走ってしまったのです。
その姿は、全国にニュースとして放映されることになりました。

 その後、その商品のメーカーA社にも捜索が入り、警察は4点の動かぬ証拠を発見、代理店B社の社長の逮捕につながったといいます。

 この事例から教訓として学ぶべきは、
[1]仮に事実でも「病気が治る」といった表現は絶対に厳禁。
[2]体験談集などを含め、薬機法違反を疑われるような資料は、持っていることすらNG――ということでしょう。

 薬機法違反に、個人・法人は関係ありません。
メーカーであろうと代理店であろうと、そして一販売店であろうと、逮捕されるときは、逮捕されます。
十分に注意してください。

書面不交付だけで逮捕も

 同じく2018年7月には、特定商取引法(特商法)違反による逮捕事件も起こっています。

山形県警が、健康食品訪販会社の社長ら3人を逮捕しました。
罪に問われたのは「不備書面の交付」でした。

 特商法では、訪販の勧誘をおこなうときに、契約書面を交付しなければならない旨を定めています。
契約書面は売買契約の内容を明らかにするもので、クーリング・オフの方法なども記載されています。

3人は書面を渡していたのですが、適正な内容ではなかったということで逮捕に至りました。

 連鎖販売取引(エナジックビジネス!)においては、契約書面を交付しないといけないのはもちろん、勧誘に先立って商品・企業・取引などの概要を記した概要書面を交付することが求められています。

書面を渡さなかっただけでも、逮捕されることさえもあるということを、一人ひとりがしっかりと肝に銘じていただきたいと思います。


新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 医薬品や医療機器などについて規定する医薬品医療機器等法(薬機法、旧薬事法)に関連して気になる動きが出てきました。
どうやら薬機法に課徴金が導入されることになりそうなのです。

 厚生労働省は現在、薬機法の改正に向けて、専門家の集まる検討会で議論を重ねています。検討会の中では、多くの専門家委員から、「薬機法への課徴金導入」を求める声が挙がっており、他の委員からも反対意見は出なかったということです。

したがって、課徴金導入の可能性がかなり濃厚になったとみてよいでしょう。

 しかも、ある業界専門紙が、「早ければ2019年の通常国会にも、課徴金制度を盛り込んだ薬機法改正法案が提出される見通し」と報じているほど、早急な措置が取られるようです。

「やり逃げ」は許さない!?

 刑事罰としての「罰金」とは違い、「課徴金」処分は、厚労省など行政側の判断で下すことができます。
刑事罰に比べて、より手軽に処分がおこなえる、ともいえるでしょう。

法改正後は、薬機法違反があった場合、逮捕され刑事罰に問われたうえで、課徴金までかけられるという「泣きっ面に蜂」パターンになる可能性もあります。

 導入の背景には、「やり逃げ」批判があります。
医薬品や医療機器などの広告に違法性があった場合には、これまでも刑事処分や行政処分が用意されており、必要に応じて、処分がおこなわれてきました。

ただ、違法な広告で得た収益は、罰を受けても違反事業者の手元に残ってしまうという問題点がありました。

 そこで、違法に得た収益を吐き出させる方法として、課徴金制度を導入しようというわけです。

 課徴金導入のメインターゲットとして想定されているのは、現在のところ医薬品です。
ただ、薬機法では、医療機器(レベラックシリーズ!)や医薬部外品、化粧品についても規定していますから、こうした分野にも広く課徴金が導入される可能性があります。

健康食品も課徴金の対象!

 健康食品についても例外ではありません。
たとえ健康食品であっても、医薬品的効能効果をうたって販売したり、医薬品成分を配合したりすれば、「無承認無許可医薬品」と判断されます。

つまり「ガンが治る」などとうたって健康食品を販売した場合、「必要な承認も許可も得ていない違法な医薬品を販売した」と判断され逮捕されることになります。

 そうした薬機法上の違法行為があった場合、法改正後では、行政から課徴金がかけられる可能性が出てくるといえます。

 改めていうまでもありませんが、健康食品を伝えるとき、「効く」「治る」の表現は厳禁です。医療機器に関して表現する場合も、認められた効能効果の範囲を正しく理解し、その範囲の訴求にとどめるようにしましょう。


新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 消費者庁は2018年7月27日、健康食品を販売する電話勧誘販売事業者Aに対して、特定商取引法に基づき、3カ月の業務停止命令を下すとともに、同社の従業員B個人に対して、同じ3カ月で初の業務禁止命令(以下、禁止命令)を出しました。

 この禁止命令は2017年12月の特商法改正のさい導入されたもので、受けると同業の立ち上げなどが個人単位で禁じられることになります。

これまでも地方自治体による禁止命令は数件出されていましたが、消費者庁として同命令を出すのは今回が初めてです。ついに、という感があります。

消費者庁命令の怖ろしさ

 この処分にはいくつかのポイントがあります。
まず一つは、やはり消費者庁が初めて出したという点でしょう。
都道府県がおこなう処分と、国がおこなう処分には、効力という意味で根本的な違いがあります。

たとえば東京都が出した処分ならば、効力は東京都内にしか及びませんが、国から処分を受けると、全国津々浦々どこにでも効力が及びます。
したがって、同業の立ち上げは「国中どこでも禁止」ということになります。

 また、消費者庁がついに伝家の宝刀を抜いたということは、都道府県も今後、より"気軽に"禁止命令を出しやすくなると考えられます。

 もう一つ注目すべきは、今回の禁止命令の対象者Bが「部長」だったという点です。
社長に対しては禁止命令を出していません。

 消費者庁はこの「部長」について「業務を統括する者であり、かつ、これらの業務の遂行に主導的な役割を果たしていた」と認定し、処分に踏み切りました。
「ごまかしたって、実質的な権限をBさんが握っているのは分かっているよ!」と言っているかのようです。

 特商法では、役員だけでなく「政令で定める使用人」にも禁止命令を出せると定めています。この条項にのっとってB部長は処分されたわけです。

「治療」も「予防」も即違反!

 ではこのA社はなぜ、処分を受けたのでしょう。
処分事例をみると従業員が消費者に「ガンにならないためにはこれを飲んでいたらいいです」「血管を太くし、強くします」「認知症にも効果があります」「認知症の予防になります」など、これでもかの違反トークのオンパレードです。
表現としては「真っ黒」といえるでしょう。

 薬機法・特商法とも、医薬品・医薬部外品・医療機器以外で「治療」「予防」をうたえば即違反になります。

たとえ医療機器であってもうたえる範囲を逸脱すれば、即アウトです。
こうしたことをちゃんと認識し、十分に気を付けてビジネスを行いましょう。


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 エナジックビジネスを進めていく上で、注意すべき法律の中には、景品表示法(以下、景表法)もあります。
特定商取引法や薬事法と同様、大切な法律なのでしっかり学んでおきましょう。

 景表法は、「表示」に関する法律です。
パッケージや広告などの「表示」にウソや間違いがあったときには、景表法に基づき処分を受けることになります。

 印刷物だけでなく、たとえば、商品やサービスに関する口頭での説明も、「口頭表示」として規制対象になりますから、さらに注意が必要でしょう。

実際に、健康機器の体験販売をおこなっていた会社が、「口頭表示」を基に、景表法の処分を受けた実例もあります。

根拠のない表示は違反に

 以前は、景表法に違反しても、「もう二度と同じ違反表示をしない」「間違った表示があったことを周知する」などを内容とする"措置命令"を受けるだけでした。

しかし、2016年4月施行の法改正で、景表法の持つ意味合いは大きく変わりました。
違反して措置命令を受けた全企業に、原則として「課徴金」を課す制度が導入されたからです。

 課徴金の額は、表示に違反があった商品の過去3年間の全売上高の3%と定められています。たとえば年100億円の売り上げがある商品ならば、3億円の3年分で、課徴金は9億円という計算になります。

 ある日突然、こうした巨額の課徴金が課されれば、企業にとっては大きな痛手となりかねません。

 実際、2017年には、ほぼ全車種で燃費偽装をおこなっていた三菱自動車に対して、4億8,500万円の課徴金納付命令が出され、話題となりました。
その後も、中小企業を含む多数の企業に課徴金納付命令が出されています。

 三菱自動車の場合、巨額課徴金の打撃だけでなく、販売台数が偽装発覚前の半分に減ったそうです。
法律違反はいろいろなダメージをもたらすのです。

ホントのことを表示しよう!

 注意すべきなのは、この法律が、単に「ウソをついてはならない」ということを定めただけではないということです。

景表法は一歩進んで「本当だという証拠のあることしか表示してはならない」旨を定めています。

 「ウソではないか」と疑われる広告を行政が見つけたときには、事業者に対して根拠資料の提出を求めることができます。

15日以内に表示の正当な根拠資料を提出できなかった場合には、行政がその表示を自動的に「ウソとみなす」という恐ろしい法律なのです。

しかも、「正当な根拠資料」と行政に認めてもらうには、厳格な基準をクリアせねばならず、至難の業です。

 きちんとした裏付け資料も持たないのに、商品の説明資料を自作するような行為は、たいへん危険だということが分かっていただけるでしょう。


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 福岡県は2018年5月11日、エステサービスを展開するB社に対して、特定商取引法(特商法)に基づき3カ月間の業務停止命令を出しました。

この行政処分で注目すべき点は、福岡県が同時に、同社の代表取締役社長と相談役会長に対して、「業務禁止命令」を出したことにあります。

 これにより、同社の社長と会長は3カ月間、同業法人を立ち上げることができなくなりましたが、実は、この業務禁止命令は2017年12月施行の特定商取引法(特商法)改正で新たに盛り込まれた規定なのです。
B社はその最初の処分例となってしまったわけです。

事実上の「廃業宣告」?

 この規定では、業務停止命令を受けた事業者の役員や、それに類する影響力を持つスタッフなどが、業務禁止命令の対象となります。

そして、その命令を受けた人物は、同業法人を立ち上げたり、たとえ他社であっても、同業ならその役員になったりすることができなくなります。

 今回の処分によって、パンドラの箱が開けられた感があります。
今後、行政により、業務禁止命令が頻発される可能性があるからです。

 2017年12月施行の特商法改正で、業務停止命令の最長期間が、それまでの1年間から2年間にまで延長されたことも考え合わせると、これは深刻な問題です。
今後、業務停止期間の長期化が予想されるからです。

 仮に2年もの長期間にわたって業務停止が言い渡されれば、それだけで企業は重大なダメージを受けます。
さらに、役員らが同業法人を立ち上げることもできなくなるとしたら、もはやこの規定の発動は、行政当局による「廃業宣告」といっても過言ではないでしょう。

 ビジネスに携わる一人ひとりの軽はずみな行動が、歴史ある企業を廃業の危機にまで追い込む可能性すらあるのです。
そうなれば、皆さんがビジネスを継続していくことも、もちろんできなくなってしまいます。

行政は「相談内容」を重視!

 消費者庁や都道府県などの行政機関は、[1]相談件数の増減、[2]相談事項の悪質性――の2つを重視する傾向があります。

つまり相談件数自体は少なくても、若者や高齢者といった、「判断力」が十分でない可能性がある人を狙い撃ちにするようなビジネスの進め方は、行政から問題視される可能性があるのです。

 実際のところ、冒頭のB社についていうと、17年度以降に寄せられた相談件数はわずか21件でした。
さまざまなうそをつきながら、経済力も判断力も乏しい大学生に対して、高額なエステサービスのローン契約を迫るなどした悪質性が、重く見られたといえます。

 皆さんが精魂を傾けるビジネスが、よもや「廃業宣告」を受けたりしないよう、コンプライアンスの順守には引き続きしっかりと取り組んでいきましょう!


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 「ウソはだめ!」ということは、皆さんも小さいころから、よく聞いてきたフレーズではないでしょうか。

 特定商取引法(特商法)でも、「ウソ=不実告知」は固く禁じられています。
軽い気持ちでついたウソが、行政処分の原因になることもありますし、最悪の場合、警察に逮捕される可能性すらあります。

 では、どんなウソをつくと罰せられてしまうのでしょうか。
特商法では、皆さんのビジネスについて、[1]商品の種類・性能、[2]特定負担(商品の代金や入会金など)、[3]契約解除(クーリング・オフや中途解約返品ルール)、[4]特定利益(報酬、ボーナスなど)、[5]その他相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なこと――
の5点について、ウソを言ってはダメと定めています。

虚偽理由で勧誘はアウト!

 では、具体的にどのようなウソが違反と指摘されているのか、最近の訪販業の処分事例を見ていきましょう。

 2018年3月に、6カ月間の業務停止命令を受けたリフォーム訪販会社の事例では、顧客を勧誘する際に「雨漏りしています。
ほっておくと大変なことになります」とウソを告げていました。

 皆さんでいうと、水機器を販売する際に「この水を飲まないと病気になりますよ」などと告げることは、立派な法律違反ということになります。

 同じく3月に6カ月間の業務停止命令を受けた消火器リース会社の事例では、「消火器会社○○の社名がこのほど変わって当社△△になりました」などと虚偽のことを告げ、従来から使っている製品のメーカー(◯◯社)とあたかも同一法人のように説明し、消火器の交換(実は新規購入)を促していたことが特商法違反に問われました。

 皆さんの場合なら、販売相手が使っている他社の水機器について、「その会社は倒産しましたから、うちの機械に切り替えてください」などとウソを言えば、やはり明白な違法行為ということになります。

「価格でウソ」も重大な違反

 2月に行政処分を受けたリフォーム訪販会社の営業員は、消費者に対し、通常提供している価格を上回る価格を「通常価格」と伝えることにより、それより安くして(本来の通常価格なのに)、さも「お買い得」のように装って勧誘していました。

 30万円の水機器を販売するにあたって、「通常は50万円する器械が、今ならば30万円で買えるのよ」などと告げる行為は、やはり明白な違反行為ということになります。

 他社の販売価格を偽って「ほかなら70万円はするこの商品が当社なら30万円で買える」などと告げるのも、いつ逮捕されてもおかしくない行為といえるでしょう。

 小さいころに言われた「ウソはつくな」は、いまももちろん守るべき大切なフレーズなのです。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 去る2018年2月20日、ビジネススクールのサービス提供を商材に連鎖販売取引を展開していたI社が、特定商取引法(特商法)に基づき消費者庁から6カ月間の取引停止命令を受けました。
この処分事例からは、若い人を勧誘するさいに気を付けるべき点が浮かび上がってきます。

 この会社のビジネスはどうやら、大学生など、かなり若い人の間で急速に広がってしまっていたようです。

その証拠に消費者庁は、処分と同日に、「若者をターゲットとした悪質な勧誘にご注意を」と題した注意喚起文書まで公表しています。

 今回の処分では、「適合性原則違反」という違法行為が認定されました。
適合性原則違反というのは、「顧客の知識、経験、財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘」のことを指します。

「財産の状況」で適否を判断

 今回のケースで勧誘の対象となった人たちの多くが若年層で、アルバイト収入や親からの仕送りなどで生活していました。

そこで10万円強の入会金を「負担できない」という人たちに対して、「学生ローンに行って借りてきて」「一緒について行ってあげるよ」などと迫り、お金を借りさせて契約を結ばせました。

その行為が、「財産の状況に照らして不適当」とする適合性原則違反に当たると判断されたのです。

 なお、17年12月の特商法改正では、金融機関に消費者を連行したり、迷惑を覚えさせたりする方法で借り入れや預金引き出しを迫る行為が法律違反に当たることを明確化しています。

 I社の某会員は、未成年の消費者に対して、保護者同意書を渡した上で、「本当はだめだけどパパっと書いちゃって」などと促し、未成年者本人に父親の名前を書かせ、押印させていたのです。
正式な文書に虚偽の記載をさせる行為は、論外というべきでしょう。絶対NGです。

虚偽記載を促すのもNG

 未成年者や学生のネットワークビジネスへの勧誘は、トラブルになりやすく、そもそもおこなうべきではありません。

それ以外の若年層についても、知識・経験・財産が足りないでしょうから、勧誘は通常よりさらに慎重におこなう必要があるでしょう。

 近年、連鎖販売取引に関する若者のトラブルの相談が増加傾向にあり、消費者庁や消費生活センター等の行政側は、「若者をターゲットにした連鎖販売取引」に対する監視の目を強めています。

若者からの苦情・相談件数が多い企業を行政が集中的に処分していくことも今後十分に考えられます。
先述の注意喚起文書は、そうした執行強化に向けた、消費者庁の強い意志表示と捉えておくべきでしょう。


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 2017年12月1日に、連鎖販売取引(ネットワークビジネス)や訪問販売を規制する特定商取引法が改正施行されました。
これによって、業務停止命令の最長期間が1年から2年に延長され、違反時の罰金上限額に至っては300万円から一気に1億円に引き上げられました。

 このように厳罰化が進んだことは、以前、このコーナーでご紹介した通りです。
今回は改正特商法であまり注目されていないけれども大切なポイントに触れたいと思います。

 今回の改正では「金銭借入や預貯金の引き出し等に関する禁止行為」というものが新たに導入されました。

 具体的には次に挙げる三つのことが、特商法の禁止行為として明示されました。

■ATMなどへの連行

 改正特商法の施行規則では「契約の相手方の意に反して貸金業者の営業所、銀行の支店その他これらに類する場所(ATM等)に連行すること」が禁止行為に加わりました。

 このような規定ができたのは、「お金がない」と断っている消費者を、無理やり金融機関のATMなどに連れて行き、お金を下ろさせ契約を迫る、といった悪質な事例がみられたためです。

 そうした無理強いの勧誘は決しておこなわないよう気を付けてください。

■支払い能力を虚偽申告させる行為

 クレジットや借入などを申し込むときの書面では、年収や預貯金、借入状況などの「支払い能力に関する事項」の記載を求められることが少なくありません。
そうした事項について、勧誘している相手に、「虚偽の申告をさせる」行為が法律違反に当たるとされました。

 たとえば、「お金が足りない」と言っている消費者に、サラ金からお金を借りさせるため、「年収が少ないと審査が通らないから高めに書いておきな」などと勧める行為は、完全に違反ということになります。
これも絶対にしてはなりません。

■クレジット、借入、預貯金の引出しなどに関する迷惑勧誘

 販売対象者との「個別クレジット契約」や、「金銭の借入に関する契約」、さらに預貯金の引出しをさせるため、「迷惑を覚えさせるような仕方」で勧誘することも禁止されました。

 「迷惑を覚えさせる勧誘」とは、たとえば「長時間にわたり勧誘すること」や「執拗に何度も勧誘をすること」などです。
「銀行からお金を引き出してくればすぐ契約できるでしょ」などと言って何時間も消費者宅に居座るといった行為はこの違反に当たると考えられます。

 以上の3つの違反行為は、行政処分の対象になります。
「お金がない」と言っている人に対して契約を無理強いすることがないよう、十分に気を付けてビジネスに取り組んでください。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 2018年は、17年12月1日に施行された改正特定商取引法(特商法)にとって、事実上の"元年"とでもいえる年になります。

 規制強化の直後は得てして「見せしめ的処分」が増えるので、特商法上の違反が万が一にもないように、よくよく注意しましょう。

 さて、特商法の処分で問われることの多い違反に〝迷惑勧誘〟があります。
訪問販売や連鎖販売取引(ネットワークビジネス)では、「迷惑を覚えさせる」勧誘方法が禁止されており、処分の対象となっています。

 たとえば、連鎖販売取引では、「契約を締結しない旨の意思を表示している者に対し」「迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘をすること」が禁止されています。

 では、どのような勧誘が「迷惑勧誘」と判断されるのでしょうか。
実際の事例を見てみましょう。

■「表情」を見極めよう!

 2017年12月に、千葉県のリフォーム訪販会社N社が、県から6カ月間の業務停止命令を受けました。
このときは、「相手方が契約の締結を断ったにも関わらず、執拗に勧誘を続けた」ことが違反に問われました。

 N社の販売員から差し出された契約の書面に対して、消費者は何度も断ったのですが、販売員が応じないため、仕方なく契約書に署名したのだといいます。
これでは違反に問われて当たり前です。

 行政は「契約しない旨の意思表示」について、「明示的に『いらない』『やる気はない』等と告げる場合のみならず、黙示的に契約締結を嫌っていることを示した場合を含む」と説明しています。
ですから、明示的に断られたときはもちろん、相手からちょっとでも嫌な顔をされたら、それ以上は無理に勧めないよう心掛けるべきでしょう。
相手の表情や態度をしっかり見極める努力が欠かせませんね。

■"心"を尊重した勧誘を

 2017年7月に関東経済産業局から3カ月の業務停止命令を受けたO社という訪問販売会社の事例では、「長時間にわたる勧誘」や「不適当な時間帯の勧誘」などが「迷惑勧誘」にあたると判断されました。

 実際の事例をみると、19時半ごろに喫茶店で始まった勧誘は、ホテルに場所を変えつつ23時過ぎまで続けられたということです。

 消費者はもうろうとした意識の中で契約を結んでしまったと主張しています。
正当な理由なく不適当な時間帯(たとえば午後9時から午前8時まで)に勧誘をすることや、長時間にわたって勧誘することは、やはり迷惑勧誘と認定されてしまうのです。

 消費者が嫌がる契約を無理強いしても、トラブルや返品につながるだけです。
それが行政処分につながる恐れも多々あります。
何より相手の〝心〟を尊重した勧誘を心掛けましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 消費者庁は2017年11月24日、健康飲料などを販売する大手ネットワークビジネス(NB)会社のF社に対して、特定商取引法(特商法)に基づき、6カ月間の業務停止命令を出しました。
ここで問われた違法行為を「他山の石」として、わたしたちも襟を正すべきでしょう。

 今回の処分で認定された違反行為は、[1]氏名等不明示、[2]不実告知――の2点でした。
特商法ではNBの勧誘をおこなう前に、「社名・氏名」「勧誘目的」「商品の種類」の3点を明示しなければならない旨を定めています。
ところが今回問題となった勧誘は、こんなふうにおこなわれたのです。

■「告知せず」は処分対象に

 会員であるA氏とB氏が、B氏の知り合いである消費者C氏宅を訪れ、NBの勧誘をおこなったさい、
「ちょっと上がってもいいですか」などと言ってC氏宅に上がる前に、社名、勧誘目的、商品の種類のいずれも告げていなかったというのです。
告知義務は必ず果たすようにしましょう。

 今回の処分でさらに問題視されたのが、商品の効能に関する不実告知です。
具体的には「これを飲んだら目が治ります」「脳幹出血も改善します」「鬱っぽい気持ちも治り、絶対元気になるから」などと告げていました。

■事実でも「治る」は厳禁!

「効く・治る」の表現は、薬機法(医療品医療機器等法=旧薬事法)だけでなく、特商法にも抵触します。
行政処分にとどまらず、勧誘者自身が刑事罰の対象になりますので、「効く・治る」を言うことは、刑務所の塀の上を歩くような行為だということをしっかり認識しておきましょう。

 今回の処分でもう一つ注目すべきは、「(夫に)ガブガブ飲ませたら、パーキンソン病が良くなって、デイサービスに行けるようになった」「うちの父は膀胱がんになったんだけど、これを飲んで治りました」といった体験談が、違反トークとして挙げられていることです。
「効く・治る」の体験談は、たとえ事実であっても、やはり法律違反と認定されるということを覚えておいてください。

 違反事例には「良い薬がありますよ」という表現もありました。
健康食品は薬ではありませんから、明らかなウソです。
「薬を飲むよりもこっちを飲んだ方がいいですよ」という表現も違反事例に挙げられています。
行政はこうした表現を、とくに問題視する傾向があります。

 レベラックシリーズのように、家庭用医療機器を販売する場合でも、認められた表現を越えた時点で、特商法・薬事法の違反を問われることになります。
十分に注意しましょう。