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新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 消費者庁では先日、2018年度(18年4月~19年3月)の、特定商取引法(特商法)に基づく処分件数について集計し、発表しました。

それによると、18年度の総処分件数(国と都道府県によるものを合算)は、前年比61件増の130件となっていることが分かりました。かなり増えていますね。

 増えた要因として最も大きいのは、2017年12月に施行された改正特商法で「業務禁止命令」が新たに創設されたことです。

業務禁止命令の対象は、社長、取締役、事業部長など、業務を主導していたとみられる個人。
禁止命令を受けた個人は一定期間、新たに企業を立ち上げて同種業務をおこなうことも禁止されます。

2017年度中は業務禁止命令の執行が1件もありませんでしたが、2018年度は国で26件、都道府県で19件と、計45件もの業務禁止命令が出されました。

「指示」処分も大幅増!

 「禁止」ではなく。
業務"停止"命令の件数はというと、国によるものが前年比2件減の13件、都道府県によるものが同2件増の26件ということですから、さほど変化はありません。

 一方で、(何らかの改善策を実行するよう促される)指示処分の件数は、国が前年比2件増の19件で、都道府県が前年比14件増の27件となっていますから、とくに後者で大きく増加していることが分かります。

 業務停止命令と同時に、違法行為があったことの消費者への周知や、コンプライアンス体制の整備等を指示されるケースが多いようです。

 都道府県による処分件数には、地域によって担当ばらつきがあります。
たとえば、2018年度の業務停止命令の件数をみてみましょう。

すると、多い順に、東京都(7件)、埼玉県(4件)、群馬県(2件)、長野県(2件)、福岡県(2件)となっています。

沖縄は特商法の処分ゼロ!

 過去20年間の業務停止命令の件数の集計では、東京都(184件)、埼玉県(107件)、北海道(40件)、静岡県(37件)、神奈川県(34件)、香川県(26件)、栃木県(21件)、大阪府(21件)、千葉県(18件)、愛知県(17件)、福岡県(16件)、福島県(15件)、岡山県(15件)、茨城県(14件)、広島県(12件)、兵庫県(11件)
の順となっています。

人口数や会社数の多い順には必ずしもなっていないところが興味深いですね。

 ちなみに山梨県、宮崎県、沖縄県の3県は、これまで特商法に基づく業務停止命令を出したことは1回もありません。

ただ、これら3県でも指示処分をおこなったことはありますし、また、これまでなかったということは、今後ないということを意味しません。

さらにいえば、都道府県から処分を受けなくとも、国(消費者庁)から処分を受けたのでは意味がありません。
日々、襟を正して、ビジネスに取り組んでいきましょう。


新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

※2019年4月に書かれた記事です。

 旅行会員権などのネットワークビジネスをおこなっているR社が先ごろ、経済産業省の地方ブロック機関として1都10県を管轄している関東経済産業局から、特定商取引法に基づき15カ月間もの長期業務停止命令を受けました。

 今回、違反行為として認定されたのは、
[1]勧誘目的等の明示義務違反、
[2]権利の内容の不実告知、
[3]特定利益に関する事項についての不実告知
――の3点です。

[1]に関していうと、同社の会員は、勧誘に先立って「ご飯でも一緒に食べませんか」などと告げるだけで、連鎖販売取引の勧誘であることや会社名などを明らかにしていなかったということです。

「常に宿泊可」と虚偽告知?

 今回、行政からとくに問題視されたのは、[2]の「権利の内容の不実告知」でしょう。

 同社の会員は、「提携先のホテルがたくさんあって、会員になればいつでも割引料金で利用、宿泊できる」「提携先のホテルの部屋数が多いので、会員ならいつでも割引料金で宿泊、利用できる」などと告げて勧誘をおこなっていましたが、実際には、同社が提携する宿泊施設の総室数は、会員数に比べて著しく少なかったということです。

 また、会員のみが利用できる国内の同社提携宿泊施設は存在しなかったとしています。
これがもし本当なら、長期間の業務停止命令を受けても文句のいえないところでしょう。

 今回の処分で皆さんに注目していただきたいのは、[3]の「特定利益に関する事項についての不実告知」の部分です。

関東経済産業局は今回、同社の会員が「誰かを紹介すれば自分にお金が入ってくる。元が取れるから大丈夫」などと告げていたことを法律違反と認定しています。

勧誘トークに十分注意を!

 「え、なぜこれが違反に?」と感じた方も多いのではないでしょうか。

関東経済産業局の説明では、「(入会すれば誰もがもうかるわけでもないのに)あたかも同社の会員になれば誰でも入会及び会員資格継続に必要な費用を上回る特定利益が得られるかのように」うそを告げたと認定したということです。

 厳しい内容ですね。
関東経済産業局では処分と同時に「若者をターゲットにした勧誘には要注意!」と題した注意喚起文書も公表しています。

その中では「友達を誘えば簡単にもうかる」「すぐに元が取れる」といった「おいしい話はありません」と断言。
「少しでも不安があれば、はっきりと断りましょう」と呼びかけています。

 「誰もが、簡単に、もうかる」と感じさせる勧誘トークは、今後厳しく処分されていく可能性があります。注意しましょう。


ウソつき販売に詐欺罪適用!(No.21)

新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 お年寄りを集めて商品説明などをおこない、健康食品等の商品を販売する「宣伝講習販売」という業態をご存知でしょうか。

この業態のA社の社長と、会場で説明をおこなっていた講師3人の計4人が2019年2月17日、詐欺および特定商取引法(特商法)違反(不実告知)の疑いで、山口県警下関署に逮捕されました。

 報道によると、4人は高齢者に、認知症や高血圧、高脂血症に対する効果・効能を説明した上で、「長い間、大学に投資をし、さまざまな先生の協力を得て開発したサプリメントだ」などと有名大学の名前をかたってウソをつき、商品を販売していたということです。

 宣伝講習販売の経営者などが逮捕されたケースはこれまでにもありますが、講師まで逮捕されるのは、たいへん珍しいと思います。

行き過ぎた表現はNG!

 また、今回は特商法違反よりもさらに重い、詐欺容疑までかけられています。
特商法違反の場合、個人だと3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)までしか問えません。

これに対し詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役(犯罪によって得た収益は没収)となっています。

 ネットワークビジネス(NB)と宣伝講習販売とでは業態が違いますが、行き過ぎた表現をして商品を販売すると、重い罰が待っているという点は同じです。十分気を付けましょう。

 過去には、NBの会員が逮捕される事件が何件も起こっています。

 その中でも、警察がもっとも執拗に動いたのは2009年から2011年にかけて起こった、徳島県の下着NB会社S社にまつわる一連の逮捕事件だと思います。

徳島県警はまず、2009年11月に同社商品を扱う代理店の社長ら2人を逮捕。
罪状は特商法違反(重要事実不告知、書面不交付)でした。

2010年2月には両容疑者を、「ガンが治る」などといって健康飲料を販売していたとして*薬事法違反で再逮捕。
代理店の社長には裁判の末に、懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円が科されました。

公明正大な販売活動を!

 これだけでは終わりません。
徳島県警は2010年10月、S社の別の販社の社長を、「ガンの治療・予防に効果がある」などとうたって商品を販売していたとし、*薬事法違反で逮捕。

2011年1月にはとうとう、S社の社長や社員など計6人を*薬事法違反で逮捕するに至りました。

 結局、S社の社長は裁判で、懲役2年、執行猶予4年、罰金300万円の有罪判決を受けました。

 警察は一度「怪しい」と目をつけると、徹底的に調べ上げ、逮捕し、有罪に持ち込みます。

 ですから、誰に何を見られても問題ないような、公明正大でウソのない販売活動を常におこなわなければならないのです。

※薬事法は平成25年11月に薬機法(医薬品医療機器等法)に改正されています


新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 今回は、「迷惑勧誘」について取り上げたいと思います。
というのも、迷惑勧誘を理由に処分を受ける事業者が多いからです。

2018年の1年間だけを見ても、10を越える事業者が「迷惑勧誘」と認定され、業務停止命令などの処分を受けています。
中には、連鎖販売取引の会社が業務停止を命じられたケースもありました。

 特定商取引法では、「迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘」することを禁じています。
ただ、「迷惑」というのは主観の問題で、どこまでが違反なのか、少し分かりにくいですね。

 そこで消費者庁などがまとめた特商法の解説書を見ると、より具体的に例示をしています。

たとえば、「正当な理由なく午後9時から午前8時までの間といった不適当な時間帯に勧誘をすること、長時間にわたり勧誘をすること、執拗に何度も勧誘すること」などが迷惑勧誘に該当するとしています。
つまり、深夜・早朝や長時間でしつこい勧誘はNGというわけです。

深夜・長時間は絶対ダメ

 では処分を受けた具体的な事例を見てみましょう。
愛知県が2018年3月に学習教材の訪販事業者に処分をおこなった事例では、販売員が午後10時過ぎまで3時間にわたる勧誘をおこなっていたことが違反に問われました。

 滋賀県が2018年12月に連鎖販売事業者に対して3カ月間の業務停止命令を下した事例では、難色を示した消費者に対して、会員が夜間・長時間にわたり説明を繰り返していました。

 「家に帰って考えたい」と告げた若者に対し、翌日の午前0時を過ぎるまで勧誘し契約させた事例もあったということです。

 2018年12月に静岡県が学習教材の訪販事業者に6カ月間の業務停止命令を出した事例では、販売員が2時間にわたって勧誘をおこなった後、「金額が高いので、うちの人にも相談したい」と言った消費者に対して、「相談はなしです。今じゃないとだめです」と告げたことが「迷惑勧誘」と認定されました。

迷惑と思わせたらアウト!

 埼玉県が18年12月に床下工事事業者に対して12カ月もの長期にわたる業務停止命令をおこなった事例では、「消費者が点検を断っているのに何度も勧めた」ことや、「消費者が見積書や契約書の作成を依頼していないのに書類の記載を始め、断りにくくした」こと、そして、「このままでは屋根が落ちてくるなどと消費者の不安をあおった」ことなどが、迷惑勧誘と認定されています。

 また、太陽熱温水器のある事業者は、断っているのに半ば強引に屋根に上り点検をおこなうなど、迷惑を感じさせる勧誘をしていたとして、埼玉県から6カ月の業務停止命令を受けました。

 以上、迷惑勧誘と一口に言ってもさまざまなバリエーションがあることが見て取れます。
ただ、明らかなのは、消費者に「迷惑」を感じさせてはならないということです。
十分に気を付けましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

※2019年1月に書かれた記事です。

 あけましておめでとうございます。
めでたいはずの新年ですが、業界はざわついています。

昨年末、特定商取引法(特商法)に基づいて消費者庁が連鎖販売業者W社に対し、大型の行政処分をおこなったからです。

 W社に対する処分は、「業務停止期間15カ月」「取締役ら5人に対する業務禁止命令(期間中、同業に携わることを禁止)」など、これまでにない厳しい処分でした。

2017年12月に施行された改正特商法では、業務停止の最長期間が1年から2年に延長されました。
また、この改正で、「業務禁止命令」が、特商法に初めて導入されました。

 改正法の施行から1年が経って、ようやく消費者庁の「本気」の処分が出始めたとみることができます。
今後も、長期・大型の処分が見せしめ的におこなわれる可能性があります。

「重要事実不告知」で処分

 W社が販売していたのは、4個セットで30万円近くもする「カード型USBメモリ(以下USB)」です。
複数セットの購入も可能で、一人で4,000万円分購入した会員もいたといいます。

 このUSBは、W社が開発した特別なテレビ電話を使用する際に必要になると、同社では説明していました。

 会員は、購入したUSBを、W社に一度貸し出します。
W社は、そのUSBを、同社のテレビ電話を導入した、ホテルなどの施設にまた貸しし、そこで得たレンタル料の一部を会員に還元すると説明していました。

重くなる一方の行政処分

 被害事例を見ると「国内外のホテルなどに導入実績がある」「ブラジルやハワイでは人気で、借りたい人はたくさんいる」
などと言って勧誘していたようです。

 しかし実際は、2018年8月までにW社が借り受けていたUSBが53万個超もあるのに対して、第三者に貸し出していたテレビ電話の台数は9,350台しかありませんでした。

しかも、テレビ電話は、USBがなくても、アプリを直接インストールするなどすれば使用可能でした。

 W社ではそれらの事実を、勧誘の際に説明しておらず、この点が「重要事実不告知」に当たると判断されました。
加えて、書面不備や、氏名等不明示など別の違反も認定されています。

「レンタル商法」は要注意

 W社のビジネスモデルは、典型的な「レンタル商法」と言えそうです。
レンタル商法では会員に、何らかの商材の"オーナー"になり、それを第三者に貸し出すことによって、安定的な収益を得ましょうと持ち掛けます。

 そして「レンタル先は会社が見つけてくれるから何もしなくていい」「銀行金利よりはるかに有利」などと甘い言葉で勧誘します。

 内実は、新規の購入代金をレンタル料の支払いに回す〝自転車操業〟なのですが、破綻するまで、被害が顕在化しにくいのもレンタル商法の特徴です。
このような〝おいしいことだけを言う怪しい話〟には、近づかないようにしましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 販売店活動のさいに気を付けないといけない法律の一つに、(2014年の改正前には「薬事法」と略していた)薬機法(医薬品医療機器等法)があります。

この薬機法に課徴金を導入しようとする動きがあることは、この連載でもお知らせしたことがありますが、いよいよ来年の通常国会に法案が提出される見通しとなりました。
規制強化の流れはますます進みそうです。

 薬機法に関連して、厚生労働省では17年9月27日に「医薬品等適正広告基準」を改定しました。
目的は、虚偽・誇大広告の適正化です。

「医薬品等」の中には、皆さんが扱う家庭用医療機器も含まれます。
電解水生成器(レベラックシリーズ)が作り出す還元水には「胃腸症状の改善」という効能効果訴求が認められていますが、そこからの逸脱は許されません。

勧誘トークも規制対象!

 改定後の適正広告基準では、
[1]効果効能等を誤認させる、
[2]過量消費・乱用助長につながる、
[3]品位を損なう内容、
[4]科学的根拠に乏しい――
といった点に該当する広告表示に対して監視指導を強化する方向性を示しています。

 自分は「広告」なんてしないので基準が改定されようと関係ないと思っているかもしれませんが、薬機法上の「広告」はテレビCMや新聞・雑誌広告だけを指すものではありません。
SNSまで含め、あらゆる媒体の広告が対象になります。

 もっといえば、皆さんの日ごろの勧誘トークも「口頭表示」ということで、広告規制の対象になります。
セミナーなどで、「病気などについても個人的体験をしゃべるだけなら大丈夫」などと思っていたら大間違いなのです。

「最高の技術」云々もダメ

 改定後の基準で広告に求められていることをいくつか挙げてみましょう。

 たとえば、製造方法について「最高の技術」とか「最先端の製造方法」といった最高クラスの表現をすることは禁止となっています。

また、「副作用が少ない」「比較的安心して...」といった表現も、安全性に関して誤認を招くおそれがあるのでNGです。
愛用者の感謝状や感謝の言葉を例示したりする広告も、誤解を招くため一部の例外を除いて禁止です。

「最高のききめ」「売り上げナンバーワン」といった最大級の表現も認められません。
効能効果について「強力な...」などと表現することも原則的に不可です。

 一方で、(一般社団法人)日本ホームヘルス機器協会が18年6月にまとめたガイドブックでは、「気持ちいいな~」「毎日使うのが楽しみ」「家族みんなで使っています」「毎日使っています」「すごく使いやすい」「手軽さで選びました」
といった表現が、家庭用医療機器を紹介するさいのOKトークとして紹介されています。

皆さんも、薬機法で許される範囲内で製品の説明をするようにしてください。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 皆さんの中には、ビジネスを進めていく中で「それってねずみ講じゃないの?」
と言われた人はありませんか。

 連鎖販売取引(ネットワークビジネス/以下NBと略)の会員の中には、こういう質問をされて回答に窮する人もいるようです。
そこで今回は、この問題について考えてみたいと思います。

 そもそもNB(連鎖販売取引)と、ねずみ講(無限連鎖講)は全くの別物です。
NBは商品を普及するための一つの事業方法であり、普及には主に"口コミ"を用いています。

 一方、ねずみ講は、お金自体を流通させるのが目的の、いわば「金銭配当組織」です。
ねずみ講に参加することは違法ですが、NBをおこなうことは違法行為でもなんでもありません。

消費者庁の定義とは?

 NBとねずみ講との相違について、消費者庁が編者となって刊行した『平成28年版 特定商取引法に関する法律の解説』(商事法務発行)に、より詳しい解説が初めて掲載されました。

 少し長いのですが、大切なことなのでポイント部分を引用してみます。

 まずねずみ講(無限連鎖講)について、消費者庁はこう定義しています。 

 「組織参加者間の『金品配当組織』であり、組織参加者の収入は後順位者の支出によってのみ賄われ、組織外からの収入がないため終局において必然的に破綻する性格のものである」

 これに対して連鎖販売業(NB)は、次のように定義をしています。

 「物品の販売等の『事業』であり、組織外への販売等の事業活動による利益が十分に得られるようなものであれば、必ずしも破綻するとは限らない」

 さらに「無限連鎖講は、物品・権利の販売や役務の提供という経済活動が伴わない点及び破綻が必然的である点において、連鎖販売業と区別される」と続けています。

 つまり、ねずみ講は破綻必至の仕組みだが、NBは、きちんと取り組めば立派な経済活動であり、事業(ビジネス)だと言っているわけです。

ねずみ講は金品配当だけ

 ただし、この後、次のように念を押しています。

 「もっとも、連鎖販売業であるとして物品・権利の販売や役務の提供を標榜している組織であっても、経済活動の実態がなく、単なる金品配当組織として無限連鎖講に該当し得る場合もあり得ることから、両者の区別については、実態に即した判断が必要となる」

 ここでは、形だけNBのように見せかけたねずみ講もあるので要注意、ということを言っているわけですね。

 いずれにせよ、消費者庁が「NBとねずみ講は別ものだ」と自ら発信しているのは画期的です。
皆さんには、自分たちのビジネスにさらに自信を持ち、正しい取り組みを進めていただきたいと思います。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 この連載では、行政処分の事例を取り上げる機会が多くありました。
今回は趣向を変えて、警察による〝逮捕〟に焦点を当ててみます。
健康関連商材を扱う企業・個人の逮捕は、実はけっこう頻繁に起こっているからです。

 2018年7月には、健康食品メーカーA社の社長ら二人が薬機法(医薬品医療機器等法/旧薬事法)違反で警視庁に逮捕されました。

 実はこの逮捕には前段がありました。
2017年の暮れに、A社の代理店B社の社長が、やはり薬事法違反で逮捕されていたのです。
ただ、この逮捕劇は、少しお粗末でした。

事実でも「治る」は厳禁!

 B社の社長の逮捕のさいには、警察からのリークがあったのか、逮捕直前に、テレビ局がカメラマンを連れて、この店社長を直撃しました。

そして、「この健康食品でガンが治るとか言っているらしいじゃないですか」
などとマイクを突き付けられたその代理店B社の社長は、なんとあろうことか、

「だって、ガンが治るんですよ。小さくなっちゃうんですから」
といったことをカメラの前で口走ってしまったのです。
その姿は、全国にニュースとして放映されることになりました。

 その後、その商品のメーカーA社にも捜索が入り、警察は4点の動かぬ証拠を発見、代理店B社の社長の逮捕につながったといいます。

 この事例から教訓として学ぶべきは、
[1]仮に事実でも「病気が治る」といった表現は絶対に厳禁。
[2]体験談集などを含め、薬機法違反を疑われるような資料は、持っていることすらNG――ということでしょう。

 薬機法違反に、個人・法人は関係ありません。
メーカーであろうと代理店であろうと、そして一販売店であろうと、逮捕されるときは、逮捕されます。
十分に注意してください。

書面不交付だけで逮捕も

 同じく2018年7月には、特定商取引法(特商法)違反による逮捕事件も起こっています。

山形県警が、健康食品訪販会社の社長ら3人を逮捕しました。
罪に問われたのは「不備書面の交付」でした。

 特商法では、訪販の勧誘をおこなうときに、契約書面を交付しなければならない旨を定めています。
契約書面は売買契約の内容を明らかにするもので、クーリング・オフの方法なども記載されています。

3人は書面を渡していたのですが、適正な内容ではなかったということで逮捕に至りました。

 連鎖販売取引(エナジックビジネス!)においては、契約書面を交付しないといけないのはもちろん、勧誘に先立って商品・企業・取引などの概要を記した概要書面を交付することが求められています。

書面を渡さなかっただけでも、逮捕されることさえもあるということを、一人ひとりがしっかりと肝に銘じていただきたいと思います。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 医薬品や医療機器などについて規定する医薬品医療機器等法(薬機法、旧薬事法)に関連して気になる動きが出てきました。
どうやら薬機法に課徴金が導入されることになりそうなのです。

 厚生労働省は現在、薬機法の改正に向けて、専門家の集まる検討会で議論を重ねています。検討会の中では、多くの専門家委員から、「薬機法への課徴金導入」を求める声が挙がっており、他の委員からも反対意見は出なかったということです。

したがって、課徴金導入の可能性がかなり濃厚になったとみてよいでしょう。

 しかも、ある業界専門紙が、「早ければ2019年の通常国会にも、課徴金制度を盛り込んだ薬機法改正法案が提出される見通し」と報じているほど、早急な措置が取られるようです。

「やり逃げ」は許さない!?

 刑事罰としての「罰金」とは違い、「課徴金」処分は、厚労省など行政側の判断で下すことができます。
刑事罰に比べて、より手軽に処分がおこなえる、ともいえるでしょう。

法改正後は、薬機法違反があった場合、逮捕され刑事罰に問われたうえで、課徴金までかけられるという「泣きっ面に蜂」パターンになる可能性もあります。

 導入の背景には、「やり逃げ」批判があります。
医薬品や医療機器などの広告に違法性があった場合には、これまでも刑事処分や行政処分が用意されており、必要に応じて、処分がおこなわれてきました。

ただ、違法な広告で得た収益は、罰を受けても違反事業者の手元に残ってしまうという問題点がありました。

 そこで、違法に得た収益を吐き出させる方法として、課徴金制度を導入しようというわけです。

 課徴金導入のメインターゲットとして想定されているのは、現在のところ医薬品です。
ただ、薬機法では、医療機器(レベラックシリーズ!)や医薬部外品、化粧品についても規定していますから、こうした分野にも広く課徴金が導入される可能性があります。

健康食品も課徴金の対象!

 健康食品についても例外ではありません。
たとえ健康食品であっても、医薬品的効能効果をうたって販売したり、医薬品成分を配合したりすれば、「無承認無許可医薬品」と判断されます。

つまり「ガンが治る」などとうたって健康食品を販売した場合、「必要な承認も許可も得ていない違法な医薬品を販売した」と判断され逮捕されることになります。

 そうした薬機法上の違法行為があった場合、法改正後では、行政から課徴金がかけられる可能性が出てくるといえます。

 改めていうまでもありませんが、健康食品を伝えるとき、「効く」「治る」の表現は厳禁です。医療機器に関して表現する場合も、認められた効能効果の範囲を正しく理解し、その範囲の訴求にとどめるようにしましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 消費者庁は2018年7月27日、健康食品を販売する電話勧誘販売事業者Aに対して、特定商取引法に基づき、3カ月の業務停止命令を下すとともに、同社の従業員B個人に対して、同じ3カ月で初の業務禁止命令(以下、禁止命令)を出しました。

 この禁止命令は2017年12月の特商法改正のさい導入されたもので、受けると同業の立ち上げなどが個人単位で禁じられることになります。

これまでも地方自治体による禁止命令は数件出されていましたが、消費者庁として同命令を出すのは今回が初めてです。ついに、という感があります。

消費者庁命令の怖ろしさ

 この処分にはいくつかのポイントがあります。
まず一つは、やはり消費者庁が初めて出したという点でしょう。
都道府県がおこなう処分と、国がおこなう処分には、効力という意味で根本的な違いがあります。

たとえば東京都が出した処分ならば、効力は東京都内にしか及びませんが、国から処分を受けると、全国津々浦々どこにでも効力が及びます。
したがって、同業の立ち上げは「国中どこでも禁止」ということになります。

 また、消費者庁がついに伝家の宝刀を抜いたということは、都道府県も今後、より"気軽に"禁止命令を出しやすくなると考えられます。

 もう一つ注目すべきは、今回の禁止命令の対象者Bが「部長」だったという点です。
社長に対しては禁止命令を出していません。

 消費者庁はこの「部長」について「業務を統括する者であり、かつ、これらの業務の遂行に主導的な役割を果たしていた」と認定し、処分に踏み切りました。
「ごまかしたって、実質的な権限をBさんが握っているのは分かっているよ!」と言っているかのようです。

 特商法では、役員だけでなく「政令で定める使用人」にも禁止命令を出せると定めています。この条項にのっとってB部長は処分されたわけです。

「治療」も「予防」も即違反!

 ではこのA社はなぜ、処分を受けたのでしょう。
処分事例をみると従業員が消費者に「ガンにならないためにはこれを飲んでいたらいいです」「血管を太くし、強くします」「認知症にも効果があります」「認知症の予防になります」など、これでもかの違反トークのオンパレードです。
表現としては「真っ黒」といえるでしょう。

 薬機法・特商法とも、医薬品・医薬部外品・医療機器以外で「治療」「予防」をうたえば即違反になります。

たとえ医療機器であってもうたえる範囲を逸脱すれば、即アウトです。
こうしたことをちゃんと認識し、十分に気を付けてビジネスを行いましょう。