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2020年03月27日

過去最高15カ月の長期業務停止処分が!(No.19)

新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

※2019年1月に書かれた記事です。

 あけましておめでとうございます。
めでたいはずの新年ですが、業界はざわついています。

昨年末、特定商取引法(特商法)に基づいて消費者庁が連鎖販売業者W社に対し、大型の行政処分をおこなったからです。

 W社に対する処分は、「業務停止期間15カ月」「取締役ら5人に対する業務禁止命令(期間中、同業に携わることを禁止)」など、これまでにない厳しい処分でした。

2017年12月に施行された改正特商法では、業務停止の最長期間が1年から2年に延長されました。
また、この改正で、「業務禁止命令」が、特商法に初めて導入されました。

 改正法の施行から1年が経って、ようやく消費者庁の「本気」の処分が出始めたとみることができます。
今後も、長期・大型の処分が見せしめ的におこなわれる可能性があります。

「重要事実不告知」で処分

 W社が販売していたのは、4個セットで30万円近くもする「カード型USBメモリ(以下USB)」です。
複数セットの購入も可能で、一人で4,000万円分購入した会員もいたといいます。

 このUSBは、W社が開発した特別なテレビ電話を使用する際に必要になると、同社では説明していました。

 会員は、購入したUSBを、W社に一度貸し出します。
W社は、そのUSBを、同社のテレビ電話を導入した、ホテルなどの施設にまた貸しし、そこで得たレンタル料の一部を会員に還元すると説明していました。

重くなる一方の行政処分

 被害事例を見ると「国内外のホテルなどに導入実績がある」「ブラジルやハワイでは人気で、借りたい人はたくさんいる」
などと言って勧誘していたようです。

 しかし実際は、2018年8月までにW社が借り受けていたUSBが53万個超もあるのに対して、第三者に貸し出していたテレビ電話の台数は9,350台しかありませんでした。

しかも、テレビ電話は、USBがなくても、アプリを直接インストールするなどすれば使用可能でした。

 W社ではそれらの事実を、勧誘の際に説明しておらず、この点が「重要事実不告知」に当たると判断されました。
加えて、書面不備や、氏名等不明示など別の違反も認定されています。

「レンタル商法」は要注意

 W社のビジネスモデルは、典型的な「レンタル商法」と言えそうです。
レンタル商法では会員に、何らかの商材の"オーナー"になり、それを第三者に貸し出すことによって、安定的な収益を得ましょうと持ち掛けます。

 そして「レンタル先は会社が見つけてくれるから何もしなくていい」「銀行金利よりはるかに有利」などと甘い言葉で勧誘します。

 内実は、新規の購入代金をレンタル料の支払いに回す〝自転車操業〟なのですが、破綻するまで、被害が顕在化しにくいのもレンタル商法の特徴です。
このような〝おいしいことだけを言う怪しい話〟には、近づかないようにしましょう。

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