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2020年06月03日

ウソつき販売に詐欺罪適用!(No.21)

新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 お年寄りを集めて商品説明などをおこない、健康食品等の商品を販売する「宣伝講習販売」という業態をご存知でしょうか。

この業態のA社の社長と、会場で説明をおこなっていた講師3人の計4人が2019年2月17日、詐欺および特定商取引法(特商法)違反(不実告知)の疑いで、山口県警下関署に逮捕されました。

 報道によると、4人は高齢者に、認知症や高血圧、高脂血症に対する効果・効能を説明した上で、「長い間、大学に投資をし、さまざまな先生の協力を得て開発したサプリメントだ」などと有名大学の名前をかたってウソをつき、商品を販売していたということです。

 宣伝講習販売の経営者などが逮捕されたケースはこれまでにもありますが、講師まで逮捕されるのは、たいへん珍しいと思います。

行き過ぎた表現はNG!

 また、今回は特商法違反よりもさらに重い、詐欺容疑までかけられています。
特商法違反の場合、個人だと3年以下の懲役または300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)までしか問えません。

これに対し詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役(犯罪によって得た収益は没収)となっています。

 ネットワークビジネス(NB)と宣伝講習販売とでは業態が違いますが、行き過ぎた表現をして商品を販売すると、重い罰が待っているという点は同じです。十分気を付けましょう。

 過去には、NBの会員が逮捕される事件が何件も起こっています。

 その中でも、警察がもっとも執拗に動いたのは2009年から2011年にかけて起こった、徳島県の下着NB会社S社にまつわる一連の逮捕事件だと思います。

徳島県警はまず、2009年11月に同社商品を扱う代理店の社長ら2人を逮捕。
罪状は特商法違反(重要事実不告知、書面不交付)でした。

2010年2月には両容疑者を、「ガンが治る」などといって健康飲料を販売していたとして*薬事法違反で再逮捕。
代理店の社長には裁判の末に、懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円が科されました。

公明正大な販売活動を!

 これだけでは終わりません。
徳島県警は2010年10月、S社の別の販社の社長を、「ガンの治療・予防に効果がある」などとうたって商品を販売していたとし、*薬事法違反で逮捕。

2011年1月にはとうとう、S社の社長や社員など計6人を*薬事法違反で逮捕するに至りました。

 結局、S社の社長は裁判で、懲役2年、執行猶予4年、罰金300万円の有罪判決を受けました。

 警察は一度「怪しい」と目をつけると、徹底的に調べ上げ、逮捕し、有罪に持ち込みます。

 ですから、誰に何を見られても問題ないような、公明正大でウソのない販売活動を常におこなわなければならないのです。

※薬事法は平成25年11月に薬機法(医薬品医療機器等法)に改正されています

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