2021年04月01日
「書面の不交付だけで逮捕」が続発!(No.31)
新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!
流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)
皆さん、新規勧誘をおこなうとき、相手方に必ず概要書面を渡していると思います。
エナジックでいうと「入会のご案内」です。
「何をいまさら」とご立腹の読者もあるかもしれませんが、渡し忘れるとどうなるか、ご存知でしょうか?
正解を申し上げると、渡し忘れただけで「逮捕」されます。
もちろん、消費者庁等の行政処分の対象にもなります。
不備書面の交付でも逮捕
実際、「書面交付を忘れただけ」の逮捕事件が何件も起こっています。
直近でいうと、2019年12月20日に、名古屋市のU社の社長と従業員1人が、特定商取引法違反(書面の交付義務違反)で、愛知県警に逮捕されました。
高齢者に対して、「終活支援サービス」の訪問販売をおこなっていましたが、クーリング・オフについて記載した書面を渡していませんでした。
これだけで"アウト"になってしまったのです。
同年12月15日には、和歌山県警が、消火器の訪問販売をおこなっていた、大阪府の男2人を逮捕しました。
このさいも、特商法違反(不備書面の交付)容疑でした。
書面にクーリング・オフの記載がなかったということです。
今回の2件は、たまたま連鎖販売取引が対象ではなく、契約内容を明らかにして契約後遅滞なく交付する「契約書面」の不備が指摘された事件でした。
ただ、連鎖販売取引の概要書面の不交付を理由に、会員が逮捕される事件は、再々起こっており、今後、起こっても何の不思議もありません。
概要書面の不交付は、6カ月以下の懲役刑や、100万円以下の罰金刑に問われる「立派な犯罪」です。
概要書面は「連鎖販売業の概要について記載した書面」です。
エナジックビジネスがそうである、連鎖販売の場合、「商売の経験が乏しい個人」が契約を結ぶことが少なくないため、契約内容を熟知しないまま契約を締結し、相手方が不利益を被る恐れがあります。
そのため、「どんな契約を結ぼうとしているのか」を明記した書面を、契約前に交付しなければならないことになっているのです。
概要書面は全項目の記載を
概要書面には、赤字・赤枠でクーリング・オフに関する事項が書かれています。
商品のことや会社のこと、報酬プランの計算方法、中途解約返品ルールなども書かれています。
これらはすべて法律で「書かなければならない」と決められています。
一つでも記載がなければ違反です。
もっというと文字の大きさが少し小さいだけでも、逮捕や処分の対象になります。
特商法上、概要書面は「交渉に入ってから契約を締結するまでの間」に交付しなければなりません。
「契約後」に渡すのは明確な法律違反です。
概要書面は確実に遅滞なく、契約前に相手方へ渡すようにしてください。
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