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新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 皆さん、新規勧誘をおこなうとき、相手方に必ず概要書面を渡していると思います。

エナジックでいうと「入会のご案内」です。
「何をいまさら」とご立腹の読者もあるかもしれませんが、渡し忘れるとどうなるか、ご存知でしょうか?

 正解を申し上げると、渡し忘れただけで「逮捕」されます。
もちろん、消費者庁等の行政処分の対象にもなります。

不備書面の交付でも逮捕

 実際、「書面交付を忘れただけ」の逮捕事件が何件も起こっています。

 直近でいうと、2019年12月20日に、名古屋市のU社の社長と従業員1人が、特定商取引法違反(書面の交付義務違反)で、愛知県警に逮捕されました。

 高齢者に対して、「終活支援サービス」の訪問販売をおこなっていましたが、クーリング・オフについて記載した書面を渡していませんでした。
これだけで"アウト"になってしまったのです。

 同年12月15日には、和歌山県警が、消火器の訪問販売をおこなっていた、大阪府の男2人を逮捕しました。

このさいも、特商法違反(不備書面の交付)容疑でした。
書面にクーリング・オフの記載がなかったということです。

 今回の2件は、たまたま連鎖販売取引が対象ではなく、契約内容を明らかにして契約後遅滞なく交付する「契約書面」の不備が指摘された事件でした。

ただ、連鎖販売取引の概要書面の不交付を理由に、会員が逮捕される事件は、再々起こっており、今後、起こっても何の不思議もありません。

 概要書面の不交付は、6カ月以下の懲役刑や、100万円以下の罰金刑に問われる「立派な犯罪」です。

 概要書面は「連鎖販売業の概要について記載した書面」です。

エナジックビジネスがそうである、連鎖販売の場合、「商売の経験が乏しい個人」が契約を結ぶことが少なくないため、契約内容を熟知しないまま契約を締結し、相手方が不利益を被る恐れがあります。

 そのため、「どんな契約を結ぼうとしているのか」を明記した書面を、契約前に交付しなければならないことになっているのです。

概要書面は全項目の記載を

 概要書面には、赤字・赤枠でクーリング・オフに関する事項が書かれています。

商品のことや会社のこと、報酬プランの計算方法、中途解約返品ルールなども書かれています。

これらはすべて法律で「書かなければならない」と決められています。
一つでも記載がなければ違反です。

もっというと文字の大きさが少し小さいだけでも、逮捕や処分の対象になります。

 特商法上、概要書面は「交渉に入ってから契約を締結するまでの間」に交付しなければなりません。

「契約後」に渡すのは明確な法律違反です。
概要書面は確実に遅滞なく、契約前に相手方へ渡すようにしてください。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 2019年の年の瀬に、また、ネットワークビジネス(NB)企業に対する行政処分がおこなわれました。

関東経済産業局は12月16日、全身美容機器や浴槽用水素水生成機器などを商材にNBをおこなっていたY社に対して、特定商取引法に基づき6カ月間の取引等停止命令を出したのです。

関連会社に対しても3カ月間の取引停止命令をおこないました。

「月60万円の収入」は違反

 認定した違反事実は、[1]氏名等の明示義務違反、[2]断定的判断の提供――
の2点だけと、シンプルです。

「氏名等の明示義務違反」については前回でも詳しく説明しましたので、今回は触れません。

ちょっと聞きなれないかもしれない「断定的判断の提供」という違反行為について詳しく紹介したいと思います。

 「断定的判断の提供」は法律上、「連鎖販売取引につき利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供して契約の締結について勧誘すること」と定義されています。

つまり、本来は儲かるか儲からないか、水ものであるはずなのに、「確実に儲かる」などと言って勧誘すると、この定義に違反することになるのです。

 では、今回の行政処分では、どのような発言が違反に当たると判断されたのでしょうか。

一つの事例では、会員が消費者に対して、「サロンの開業には250万円ほどがかかる」旨を伝えたところ「負担が難しい」と断られてしまいました。

 これに対して会員は「カードローンを使えば良い。やっていけば必ず成功して半年で返済できる」と勧誘し、消費者は仮契約しました。

しかしその後、「契約はできない」と伝えた消費者に、「一人誘ったら36万円、物販は代金の25%が貰えるから、すぐ返済できる」などとさらに説得しました。

この一連の説得が「断定的判断の提供」に当たると判断されたのです。

 もう一つの事例では「1カ月収入60万円」「そのほか、商品を売れば100万円以上も取れる」「200万円なんて1年で返せるよ。頑張れば半年だよ」などと伝えた行為が違反と認定されました。

当然の表現にも注意を!

 ややさかのぼりますが、2005年に出された行政処分では、「頑張れば儲かる」という表現が、「断定的判断の提供に当たる」とされたこともあります。

「頑張れば......」というのはある意味、当たり前の表現のような気もしますが、気をつけなければなりません。

 当時の報道によると、行政当局は「『頑張れば儲かる』が必ずしも違法というわけではなく、前後関係から『頑張ればほぼ必ず儲かる』というニュアンスが明らかだったため指摘した」と説明していたようです。

 「頑張れば」という条件を前に付けたとしても、やはり「確実に」と誤認させると、違反と判断されることになります。
十分に注意しましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 中部経済産業局は2019年9月12日、健康食品をネットワークビジネスで販売するブレスに、特定商取引法(連鎖販売取引)に基づき、6カ月間の取引停止命令を出しました。

この行政処分からは学ぶべき教訓が多いので、詳しくみてみましょう。

 ブレスについて今回認定された違反行為は、
[1]氏名等の明示義務違反、
[2]勧誘目的を告げずに誘引した者に対する公衆の出入りする場所以外の場所での勧誘(「公衆の出入りしない場所での勧誘」という意味)、
[3]概要書面の交付義務違反――の3点です。

概要書面は忘れず渡す

 一番わかりやすい違反は、[3]の「概要書面の不交付」です。

勧誘のさいに会員が、概要書面を渡し忘れたケースがあれば、たった一人の会員の、たった1件の事例であっても、この違反は成立してしまいます。

勧誘のさいには、概要書面などの書類を、絶対に忘れることなく、渡すようにしましょう。

 [1]「氏名等の明示義務違反」については、少し前にも詳しく説明しました。

もう一度簡単に説明すると、特商法では、連鎖販売取引の勧誘に先立って、相手方に対して、
[1]社名・氏名、
[2]特定負担(仕事を開始するに当たって必要となる商品購入や入会金など何らかの金銭負担。
エナジックの場合、レベラックや還元ウコンΣを購入すること)が伴う取引の契約の勧誘が目的であること、
[3]商品・役務の種類
――の3点を明示しないといけないと定めています。

 今回の事例では、会員が、消費者に対して「将来ちょっと不安で、もう一個仕事始めたんやけど」「真剣に取り組んでやっている仕事だから、どうしてもお前と一緒にやりたい」「一回、話を真剣に聞いてくれ」
などとSNSでメッセージを送り、面会の約束を取り付けた行為が違反に認定されました。

 このことについて行政当局は「特定負担を伴う取引の勧誘であることが明らかではない」「商品の種類を明らかにしていない」
という理由で特商法違反だと断じています。

アポ取りの段階で、必ず3つの告知義務を果たすようにしてください。

勧誘目的は事前に告知!

 [2]の「公衆の出入りしない場所での勧誘」については、「初めて聞いた」という人もいるでしょう。

「公衆の出入りしない場所」というのは、一般の人が普通に出入りしない場所ですから、たとえば「ホテルのセミナー会場」などがそれにあたります。

勧誘目的を告げずにセミナーに消費者を連れ出すと、違反と認定されます。注意が必要です。

 今回のケースでは「〇〇っていうところで説明会的なやつをやってるんだけど、仕事の環境を見てもらいたいから一緒に行こう」
とSNSでセミナーに誘った行為が違反と認定されました。

勧誘目的を告げずにセミナーに連れ出す行為は、非常に危険です。
絶対におこなわないようにしてください。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 今回は「重要事実不告知」という、特定商取引法(特商法)上の違反行為について解説してみましょう。

特商法では、「契約するかどうかに関わるような大切なこと」について、「本当のことを言わない」行為を「重要事実不告知」として、重大な違反と定めています。

したがって違反者は重い罰則の対象となります。

 具体的にいうと、3年以下の懲役や最長2年の業務停止命令の対象になる可能性もあるのです。

重要事実不告知は重大違反

 どんな事実を告げないと違反になるのか、ここ1~2年の行政処分事例をみてみましょう。

 2019年3月に、結婚相手紹介サービスの訪問販売をおこなっていたV社が3カ月の業務停止命令を受けました。

このときは、既婚者や退会者であるにもかかわらず、それらの写真を差し出しながら「こういう人がおるで、息子さんにどうですか」などと告げていたことが、重要事実不告知に問われました。

 言われた人は、「こういう人と見合いができるのか」と勘違いしたことでしょう。
しかしながら、見合い相手について本当の情報を告げなかったことが違反に問われ、処分を受けたのです。

 エコロジーな給湯器として最近人気のエコキュートを販売する訪販事業者N社が、18年3月に6カ月の業務停止命令を受けました。
そのさいには、コストの試算方法が問題になりました。

 エコキュートの場合、約10年ごとに更新が必要で、そのさい結構な額の費用が必要になります。

それなのに、ガス給湯器からエコキュートへの切り替えのメリットの説明をするさい、更新費用を計上しない計算式で、両者のトータルコストの比較を示していたことが、重要事実の不告知に問われたのです。

消費者はきっと、「エコキュートの方がお得だ」と勘違いしたことでしょう。

「めっちゃいいよ」でも違反

 ビジネススクールの役務をネットワークビジネスで販売するI社が2018年2月に6カ月間の業務停止を命じられた案件では、消費者への勧誘のさいに、

「儲かっている。めっちゃいいよ」
「月々2万1,600円払っても黒字になる」

などというだけで、特定利益が得られる可能性の乏しさや困難さを告げていなかったことが、重要事実不告知だと認定されました。

消費者は、「自分も簡単に儲けられる」と勘違いしたことでしょう。

 上記事例に共通するのは、勧誘する側が、勧誘途中に、「あっ、この消費者、勘違いしているな」と気付いたであろうことです。

その勘違いを、「まっいいや、その方が買ってくれそうだし」と放置すると、重要事実不告知という重大な違反行為として処罰・処分を受けることになります。

 重要事実不告知の処分例は、他にもたくさんあります。

「あっ、勘違いしているな」と思ったら、その瞬間に、本当のことを話し、消費者の誤解を解くようにしましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 消費者庁は2019年9月27日、「特許権を取得した通信機器で収益を得られるなどとうたい、高額の投資をさせる事業者に関する注意喚起」という文書を発表し、問題の事業者の名前を公表しました。

 行政処分をおこなった企業の名前を公表するのは一般的ですが、処分されてもいない事業者の名前を公表するのは異例です。

今回の注意喚起・社名公表は、消費者庁の設置に伴い2009年に施行された「消費者安全法」という法律に則ったものでした。

 社名公表の対象になったのは、LED高速通信(以下L社)という会社です。
L社は、各地で「LED高速通信機器(以下LED機器)」と呼ばれる商品に関するセミナーを開催し、「加盟店」を募集していました。

しかし募集にあたってウソの説明(不実告知)が確認されたことから、消費者庁は社名公表に踏み切りました。

ウソだらけの事業内容

 L社との加盟店契約は、
[1]契約者は、L社からLED機器を32万4,000円で購入、
[2]契約者は加盟店協力金として21万6,000円をL社に支払う、
[3]購入した商品は契約者には引き渡されず、L社が運用、
[4]契約者は、運用によって得られた収益の一部を受け取る
――という内容になっていました。

 消費者庁が不実告知と認定したのは以下のようなことです。
たとえばL社は、LED機器について特許を取得していると説明していましたが、取得していませんでした。

 また、「加盟店契約をすれば、半年から1年後には、LED機器の取り扱いによる売り上げを案分した金銭を定期的に受け取ることができ、すでに金銭を受け取っている消費者もいる」かのように説明していました。

 しかし実際にはセミナー開始時点でLED機器は1台も製造されておらず、売り上げを案分した金銭も支払われていませんでした。

加盟店契約をした消費者に対して、数回にわたり1~2万円程度を支払っていましたが、LEDの運用収益からの支払いではありませんでした。

公表は被害防止のため!

 消費者庁では、こうした事実を確認し注意喚起をおこなったのです。

 通常こうした事案では、特定商取引法などによる処分がおこなわれることが多いのですが、今回は(10月2日時点で)実施されていません。

処分がおこなわれないのは、19年8月までの2年5カ月で64件と、L社関連の相談件数が少数にとどまっているからかもしれません。

 このような投資型案件の場合、事業が破綻し支払いが滞ってから、相談件数が急増する傾向があります。

 今回、消費者庁は、
[1]L社が自転車操業であることは明らか、
[2]将来的に多くの消費者被害を生む可能性が高い
――と認定し、被害の拡大を未然に防ぐ意味も含め社名公表に踏み切りました。

こうした投資型の案件は、全国的にも増加傾向にあります。
皆さんも、だまされないよう、くれぐれも注意してください。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 消費者庁が所管する独立行政法人の国民生活センター(以下、「国セン」と略)は2019年8月、「『お金がない』では断れない!きっぱり断りましょう――断っても借金させてまで強引に契約を迫る手口にご注意」という注意喚起の発表をおこないました。

いったいなぜなのでしょうか。
「お金が支払えない」などと言って断っている消費者に、借金をさせたり、クレジットを組ませたりして、強引に契約を結ばせる手口が増えているからだということです。

 そうした手口が特定できた相談件数は、2016年が562件、17年が589件、18年が642件と、年々増えています。

今年4月~7月末の相談件数は195件で、これも前年同時期比で71件増えています。

「国セン」発表の悪質事例

 国センによると、こんな事例がありました。
ある消費者が大学の友人から投資関連のソフトについて勧誘を受けたさい、約50万円と高額だったことから、「お金がない」と一度断りました。

 ところが、その友人は「みんな借金して契約している。儲かるからすぐに返済できる。留学するためとウソをつけばいい」と、さらに強引に勧誘しました。
その消費者はとうとう断り切れず、貸金業者から借金し契約を結んでしまったのです。

 これ以外にも、「支払い困難と伝えたが個別クレジットの分割払いでエステ等複数の契約をさせられた」「『借金してでもやった方がいい』と言われ、貸金業者の店に連れていかれ、お金稼ぎに関する情報商材の契約をした」といった事例が紹介されています。

 そのほかにも、「断っている人に強引に勧誘している」「ウソをつかせて契約させるなど、問題のある借金・クレジット契約をさせている」「資金力がない人に対して勧誘を行っている」「支払いきれないほど高額な契約をさせる」

といった事例を紹介したうえで、国センは、「深刻な相談事例が寄せられている」と指摘し、今後も問題視していくと強調しています。

法規制の強化の可能性も

 断っている人を強引に勧誘すれば、特定商取引法の再勧誘規制に抵触する可能性があります。

また、17年12月には連鎖販売取引などについて、
[1]消費者の意に反してATMなどに連行する行為、
[2]クレジットや借入の申し込みの書面で支払い能力を虚偽申告させる行為、
[3]クレジット・借入・預貯金引出などをさせるため、「迷惑を覚えさせる勧誘」をする行為――等々が、特商法違反に当たることが明示されました。

 つまり、「お金がない」と言っている人を強引に勧誘することは、いろいろな意味で違法行為に当たる可能性があるのです。

 国センのような行政機関が今回のような発表をするときには、裏の意図が隠されている場合があります。

つまり、借金やクレジット契約にまつわる不正勧誘に対する法執行が強化されたり、法規制のさらなる強化が議論されたりする可能性があるのです。

「強引な勧誘はしない」ということを、常日頃から心がけましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 2019年7月に、WILL(ウィル)という会社が消費者庁から、特定商取引法に基づき24カ月の(訪問販売の)業務停止命令を受けました。

現行の特商法で最長の行政処分がついに出されたのですが、それだけでなく今回の処分は以下のように"異例な側面"を多数持っています。

 まずウィルの事業モデルを説明します。
同社の商品は、アプリが組み込まれたカード型USBメモリです。
消費者は1個約60万円で購入したUSBメモリを、ウィルに貸し出します。

ウィルはUSBに組み込まれたアプリを第三者に提供し、そこで上がった収益から消費者に、賃借料72万円を36回分割で支払うと説明していました。

 ただ、実際のところは、同社の総売上高の約99%を、USBメモリの売り上げが占めており、アプリ提供による収益はほぼ皆無でした。
この点が「不実告知」(ウソつき!)に当たると判断されました。

異例ずくめの行政処分

[1]過去最長の処分
 2017年12月施行の改正特商法で、最長の業務停止期間が1年から2年に延長されました。
これまでに15カ月や18カ月の業務停止命令はありましたが、24カ月の処分は今回が初めてです。

[2]関連会社7社も処分
 ウィルの統率の下、連携共同して契約の申込み受け付けや契約締結を実施していた関連会社7社に対しても18カ月の業務停止命令を出しました。

[3]処分期間中の追加処分
 実は、ウィルは2018年12月に15カ月間の業務停止命令を受けているので、その期間中に今回の処分を重ねて受けたことになります。

前回の処分は連鎖販売取引についてのものでしたから、業務停止期間中も訪問販売は可能ということになります。
この"抜け道"を使ってビジネスをおこなっていたことが分かったため、消費者庁は連鎖販売の業務停止に加えて訪問販売もストップさせ、抜け道を塞いだとみられます。

[4]消費者安全法による注意喚起
 消費者庁は、処分と同じタイミングで消費者安全法に基づき、「ウィルがワールドイノベーションラブオールという別名で同様の違法行為を行う可能性があるので注意してください」という旨の注意喚起文書を発表しています。
これにより社名を変えて同じ業務を、との"抜け道"を塞ぎました。

[5]開示求める指示処分も
 消費者に対して、USBメモリの売り上げや賃借料の額、運用事業により得た収益などを開示するよう求める指示処分も出されました。

[6]遅れて業務禁止命令が!
 最近では処分の定番となっている(幹部クラスへの)業務禁止命令は、遅れて8月6日に出されました。

ウィルの会長、社長には24カ月、関連会社5社の社長には18カ月という重い処分です。
いずれにせよ、今回の処分内容をみると、消費者庁の並々ならぬ意気込みが伺えます。


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 ネットワークビジネス(NB)企業が特定商取引法違反で処分を受けるとき、必ずといっていいほど認定されるのが「勧誘目的等の不明示」という違反です。

にもかかわらず、勧誘する側に「違法行為をしている」という意識が薄いのが、この違反の特徴です。

今回は、この「勧誘目的等の不明示」について近年のNB企業の処分事例をみていきましょう。

 そもそも、「勧誘目的等」とは何でしょう。
特商法では、連鎖販売取引の勧誘に先立って、相手方に対して、
[1]社名・氏名、
[2]特定負担(商品購入や入会金など何らかの金銭負担)を伴う取引の契約の勧誘が目的であること、
[3]商品・役務の種類――の3点を明示しないといけないと定めています。

これを「3大告知義務」と言ったりもします。

「食事でも」だけではバツ!

 たとえば、2018年12月に15カ月間もの取引停止命令を受けたWという会社のケースでは、NBの会員が「ランチをしない?」と知人を電話で誘った行為が違反に問われました。

 誘われた側は単にランチをするのだと思い会いに行ったのですが、食事後、「お茶しない?」と言われ、連れて行かれた先で、待っていた同社の社員にビジネスの説明を受けました。
こんなケースでも違反なのです。

 特商法では「勧誘に先立って」勧誘目的等を明示しなければならないと規定しています。
消費者庁は、「勧誘に先立って」の定義について、「直接誘ったり、電話をかけるなど相手方と接触した」タイミングと説明しています。

つまり勧誘のアクションを起こしたら、イの一番で勧誘目的等を告げなければならないのです。

 2018年に6カ月の取引停止命令を受けたI社の事例では、消費者のスマートフォンに「一緒に頑張ってみない」とメッセージを送った行為が、違反と認定されました。

「一緒に頑張ろう」もダメ!

 メッセージを送られた消費者は何のことか分からず、「詳しく教えて」と言ったのですが、勧誘した会員は「池袋に話を聞きにくればいいから」などとはぐらかし、池袋での面会の約束を取り付けました。

結局、赴いた先の池袋で、ビジネスの勧誘を受けることになったのです。

 勧誘目的等を告げずに、セミナーなどに誘うのも同様に違反です。
そうしたケースでの処分事例も多数あります。

 NB会社の中には、3大告知義務の内容をすべて盛り込んだ名刺を作り、勧誘対象に会ったときは真っ先に渡すよう、会員を指導している会社もあるようです。

行政処分の端緒となる違反ですから、十分気を付けてください。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 消費者庁では先日、2018年度(18年4月~19年3月)の、特定商取引法(特商法)に基づく処分件数について集計し、発表しました。

それによると、18年度の総処分件数(国と都道府県によるものを合算)は、前年比61件増の130件となっていることが分かりました。かなり増えていますね。

 増えた要因として最も大きいのは、2017年12月に施行された改正特商法で「業務禁止命令」が新たに創設されたことです。

業務禁止命令の対象は、社長、取締役、事業部長など、業務を主導していたとみられる個人。
禁止命令を受けた個人は一定期間、新たに企業を立ち上げて同種業務をおこなうことも禁止されます。

2017年度中は業務禁止命令の執行が1件もありませんでしたが、2018年度は国で26件、都道府県で19件と、計45件もの業務禁止命令が出されました。

「指示」処分も大幅増!

 「禁止」ではなく。
業務"停止"命令の件数はというと、国によるものが前年比2件減の13件、都道府県によるものが同2件増の26件ということですから、さほど変化はありません。

 一方で、(何らかの改善策を実行するよう促される)指示処分の件数は、国が前年比2件増の19件で、都道府県が前年比14件増の27件となっていますから、とくに後者で大きく増加していることが分かります。

 業務停止命令と同時に、違法行為があったことの消費者への周知や、コンプライアンス体制の整備等を指示されるケースが多いようです。

 都道府県による処分件数には、地域によって担当ばらつきがあります。
たとえば、2018年度の業務停止命令の件数をみてみましょう。

すると、多い順に、東京都(7件)、埼玉県(4件)、群馬県(2件)、長野県(2件)、福岡県(2件)となっています。

沖縄は特商法の処分ゼロ!

 過去20年間の業務停止命令の件数の集計では、東京都(184件)、埼玉県(107件)、北海道(40件)、静岡県(37件)、神奈川県(34件)、香川県(26件)、栃木県(21件)、大阪府(21件)、千葉県(18件)、愛知県(17件)、福岡県(16件)、福島県(15件)、岡山県(15件)、茨城県(14件)、広島県(12件)、兵庫県(11件)
の順となっています。

人口数や会社数の多い順には必ずしもなっていないところが興味深いですね。

 ちなみに山梨県、宮崎県、沖縄県の3県は、これまで特商法に基づく業務停止命令を出したことは1回もありません。

ただ、これら3県でも指示処分をおこなったことはありますし、また、これまでなかったということは、今後ないということを意味しません。

さらにいえば、都道府県から処分を受けなくとも、国(消費者庁)から処分を受けたのでは意味がありません。
日々、襟を正して、ビジネスに取り組んでいきましょう。


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

※2019年4月に書かれた記事です。

 旅行会員権などのネットワークビジネスをおこなっているR社が先ごろ、経済産業省の地方ブロック機関として1都10県を管轄している関東経済産業局から、特定商取引法に基づき15カ月間もの長期業務停止命令を受けました。

 今回、違反行為として認定されたのは、
[1]勧誘目的等の明示義務違反、
[2]権利の内容の不実告知、
[3]特定利益に関する事項についての不実告知
――の3点です。

[1]に関していうと、同社の会員は、勧誘に先立って「ご飯でも一緒に食べませんか」などと告げるだけで、連鎖販売取引の勧誘であることや会社名などを明らかにしていなかったということです。

「常に宿泊可」と虚偽告知?

 今回、行政からとくに問題視されたのは、[2]の「権利の内容の不実告知」でしょう。

 同社の会員は、「提携先のホテルがたくさんあって、会員になればいつでも割引料金で利用、宿泊できる」「提携先のホテルの部屋数が多いので、会員ならいつでも割引料金で宿泊、利用できる」などと告げて勧誘をおこなっていましたが、実際には、同社が提携する宿泊施設の総室数は、会員数に比べて著しく少なかったということです。

 また、会員のみが利用できる国内の同社提携宿泊施設は存在しなかったとしています。
これがもし本当なら、長期間の業務停止命令を受けても文句のいえないところでしょう。

 今回の処分で皆さんに注目していただきたいのは、[3]の「特定利益に関する事項についての不実告知」の部分です。

関東経済産業局は今回、同社の会員が「誰かを紹介すれば自分にお金が入ってくる。元が取れるから大丈夫」などと告げていたことを法律違反と認定しています。

勧誘トークに十分注意を!

 「え、なぜこれが違反に?」と感じた方も多いのではないでしょうか。

関東経済産業局の説明では、「(入会すれば誰もがもうかるわけでもないのに)あたかも同社の会員になれば誰でも入会及び会員資格継続に必要な費用を上回る特定利益が得られるかのように」うそを告げたと認定したということです。

 厳しい内容ですね。
関東経済産業局では処分と同時に「若者をターゲットにした勧誘には要注意!」と題した注意喚起文書も公表しています。

その中では「友達を誘えば簡単にもうかる」「すぐに元が取れる」といった「おいしい話はありません」と断言。
「少しでも不安があれば、はっきりと断りましょう」と呼びかけています。

 「誰もが、簡単に、もうかる」と感じさせる勧誘トークは、今後厳しく処分されていく可能性があります。注意しましょう。