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新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 ここ数カ月は、新型コロナウイルスのことばかりに頭が行きがちですが、そんな中、消費者庁など行政当局は着々と取り組みを進めています。

関連して最近、消費者行政で気になる動きが三つありましたので、順を追ってお伝えしましょう。

[1]特商法と景表法でダブル処分

 2020年3~4月にかけて、埼玉県が異例の行政処分をおこないました。

同県はまず3月31日に、サプリメントの通信販売をおこなっていたN社に誇大広告があったとして、景表法(景品表示法)に基づく措置命令を出しました。

そしてその翌日(4月1日)には、特商法(特定商取引法)に基づき、3カ月間の業務停止命令を出したのです。

 同じ会社に対して2日続けて、違う法律で処分を出すというのは極めて異例です。
ただ、法律上、一つの法律で処分を受けたからといって、別の法律の適用を妨げられるわけではありません。

ともあれこれは、消費者庁だけでなく、地方自治体でも「執行強化」「厳罰化」が進んでいることを端的に示す事例といえるでしょう。

 「たった一つの違反」が、二度も三度も処分を受ける〝大事(おおごと)〟になってしまうかもしれません。
そんな思いで、襟をただしてビジネスに取り組んでいきましょう。

[2]消費者庁が措置命令を初の取り消し

 消費者庁は2020年5月15日、景表法に基づき19年3月におこなった、サプリメント販売会社Y社に対する措置命令を取り消すと発表しました。

消費者庁が措置命令を取り消すのは今回が初めてで、処分の取り消し自体、極めて異例です。

 取り消しは、「違反表示を行っていたと認定した期間に誤りがあったから」ということです。

誤りをそのまま放置して、事業者に訴えられれば、消費者庁が訴訟に負ける可能性も十分にありましたから、「防衛のためやむなく」という側面があったのでしょう。

 ただ、消費者庁が今後、表示期間を認定し直し、改めて処分を出し直す可能性は残っています。

そんなことになれば、事業者にとっては、再び社会的制裁を受けることになり、泣きっ面に蜂といえなくもありません。

[3]特商法改正強化の議論が進展

 現在、特商法改正の議論が消費者庁の検討会で進展しており、2020年5月19日には、第3回会合が、ウェブ会議方式で実施されました。

預託商法や通販の「勝手に定期購入」が、規制のメーンターゲットとみられており、現状は、預託商法の規制方法の検討が議論の中心となっています。

ただ〝おまけ〟的に連鎖販売や訪販関連の規制が強化される可能性も十分にあります。

特に、若年者・高齢者に対する〝付け込み型〟勧誘や、消費者に借金をさせて販売する手法などに対する規制は、強化される可能性がありそうです。

引き続き議論の進展を注視していきましょう。


新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 東京都は2020年3月25日付で、投資学習用USBメモリーをネットワークビジネス(NB)で販売していた3事業者に対して、特定商取引法に基づく行政処分をおこないました。

 そのうちの1社である、I社に対しては、6カ月間の業務の一部停止を命じました。

認定された違反行為は、
[1]勧誘目的等不明示、
[2]不実告知(商品の性能)、
[3]迷惑勧誘、
[4]適合性原則違反、
[5]支払い能力虚偽申告教唆
―の5点です。

違反のオンパレード!

 まるで違反のオンパレードを繰り広げたかのようなこの会社は、為替相場に投資するバイナリーオプション取引の学習用プログラミングツールを内蔵したUSBなどをNBで販売していました。

「AIが入ったUSBだから勝てる」などと言っていたのに、システムに人工知能が搭載されていなかった点などが不実告知と認定されました。

 健全なNBを展開するにあたって、この処分にはいくつか教訓とすべき点がありますので、順を追ってみていきましょう。

[1]「適合性原則違反」について
 「消費者の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘」をおこなうのが、適合性原則違反です。

今回は投資経験も収入・財産もない学生に投資関連商品を販売したことがこの違反に問われました。

認知症の高齢者や、知識・経験の乏しい若年者を勧誘することも、この違反に問われます。注意しましょう。

[2]「支払い能力虚偽申告教唆」について
 今回の処分では、消費者が購入資金を貸金業者から借り入れるにあたって、借入理由を「自動車購入」にすることや、年収を「百何十万」にすることを指示し、虚偽の申告をさせていたことが違反に問われました。
借り入れの書類に虚偽の申告をさせるのは立派な違反行為です。

[3]「迷惑勧誘」について
「複数日にわたり3時間以上の勧誘を行う」ことが、迷惑勧誘に問われました。

「長時間」「深夜・早朝」「執拗」といった勧誘は違反に問われやすいので注意しましょう。

[4]都道府県による処分について
 最近の傾向として、消費者庁などの国家機関だけでなく、都道府県による処分も増えています。

東京都が2019年度に出した、特商法に基づく業務停止命令の件数は、前年度比5件増の12件となっています。

[5]投資型ビジネスがNB組織に拡散する危険について
 今回違反が指摘されたような、投資型のビジネスは、健全なNBの組織内でも広がりやすいといわれています。

上位の会員が勧誘を始めてしまい、傘下の会員がまるごと騙されてしまうケースも少なからずあるようです。

そうした兆候を感じたら、会社に相談するなど、適切に対処しましょう。


新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 「新型コロナウイルス対策」をうたう商品をめぐって、ついに検挙事例が発生しました。

 報道によると2020年3月31日、警視庁生活環境課が健康食品販売会社のN社と社長ら2人を、薬機法(旧薬事法)違反で書類送検したということです。

 同社のホームページで、医薬品の承認を受けていないサプリメントについて、「新型コロナウイルス対策」「(ウイルスの)増殖を抑制する」などと広告したことなどが、検挙の主な罪状だと報じています。

消費者庁も二度目の警告!

 早晩、こういった検挙事例が生まれる日が来ると思っていましたが、警察の動きは予想以上に早かったという印象を受けます。

おそらくこの1件で打ち止めではなく、2件、3件と検挙(逮捕)事例が積み重なっていくでしょう。

 消費者庁もまた、2020年3月27日に、新型コロナウイルスに対する予防効果をうたって健康食品やアロマオイルなど41商品を販売していた34社について、改善要請をおこなったことを明らかにしました。

これは2020年3月10日の発表に次ぐ2回目の改善要請で、合計すると、何と延べ61事業者84商品に対して改善要請を出したことになります。

 今後も消費者庁などは改善要請や行政処分等々を実施していくと思われます。

健康・衛生商品を扱う場合は襟をただし、適正な商品説明・提案に努める必要があります。

 「いや、商品の効果には自信がある」という人もいるでしょう。

自信を持つことは悪いことではありませんが、現時点で新型コロナウイルスへの有効性が科学的に証明された商品はありません。

[1]強酸性水には除菌効果がある、
[2]還元水の飲用は胃腸症状の改善に効果的
――というところまでは言っても構わないでしょうが、それを超えると、明らかに法律違反になります。

適正トークを心がけよう!

 にもかかわらず、「新型コロナウイルス予防に効果的」
などといった商品説明をおこなっていると、説明した本人がいつ逮捕されてもおかしくありません。

業務停止命令などの行政処分を受ける可能性も十分あります。

 処分は会社だけでなく、勧誘した個人に対して出されることもあります。
行政・警察は「新型コロナウイルス対策」をうたう商品群を確実に問題視しています。

わらにもすがる思いで商品を購入する消費者の弱みにつけこむ販売方法を行政は決して見逃しません。

 2011年3月の東日本大震災に伴う、原発事故・放射能汚染のさいも、「放射性物質を除去できる」などとうたい商品を販売していた事業者が薬事法(現薬機法)違反で相次いで逮捕されました。

 新型コロナウイルスについても、同様の事態が発生しつつあります。
くれぐれも、適正な商品説明を心掛けましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 国民生活センター(以下国セン)は2020年2月28日付で、「新型コロナウイルスに便乗した悪質商法にご注意!(速報)」と題した、注意喚起の報道発表をおこないました。

こういった発表が出されたさいには、その後、見せしめ的な行政処分・逮捕がおこなわれるケースが多く、いっそう注意が必要です。

 自社の商品にどんなに自信があったとしても、法律で認められた範囲を逸脱するようなトークは絶対にしないようにしましょう。

国民生活センターの警告

 国センの注意喚起では「新型コロナウイルスの感染拡大に関連した相談が、全国の消費生活センター等に寄せられて」いると指摘。

代表的な事例として「マスクを無料送付するといったメッセージがスマートフォンに届いた」「新型コロナウイルス流行拡大の影響で金の相場が上がるとして、金を買う権利を申し込むように言われた」の二つが挙げられています。

 国センとしては今回、ひとまず速報としてあくまで代表例を挙げただけでしょう。

つまり、各消費生活センター等の窓口には、新型コロナウイルス関連で、より多種多様な相談が寄せられていると考えられるのです。

 その中には「『新型コロナウイルスには、この商品が有効』と言われて商品を購入してしまった」といった相談も含まれていることが、容易に想像されます。

 最近の法改正の議論などをみるに、消費者庁は、消費者の弱みを見越しておこなう"つけこみ型勧誘"をたいへん問題視しています。

「新型コロナウイルスの感染・罹患からなんとか逃れたい」という、いま最もありがちな人の心理に付け込むような勧誘は、そのつけこみ型勧誘の典型例とみられても仕方ありません。

 現時点で、なんらかの商品について「新型コロナウイルスに有効」という説明をおこなうことは、せっけんや消毒用アルコールなど一部の衛生品を除いて、ほとんどのケースがオーバートークになってしまうと考えられます。

 なぜなら、新型コロナウイルスについて、まだ十分な医学的・科学的な分析結果がなく、したがって特定製品の有効性が立証されたわけでもないからです。

オーバートークは禁物 !

 強酸性電解水に除菌効果があり、還元水の飲用が胃腸症状の改善に効果的である――
とまではいえると思いますが、そこを一歩踏み越えると、現時点では、オーバートークと判断されると考えた方がよいでしょう。

「新型コロナウイルスにも効くの?」と聞かれると、「はい、効きます!」と答えたくなる気持ちは分かります。

しかし、ここはぐっと我慢して「未知のウイルスなので、有効か無効かは現時点ではまだ分かりません」と正直に答えましょう。

それが、長い目で見て、相手からも社会からも、信頼を得る方法だと思います。
繰り返しますが我慢ですよ。我慢!


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 皆さん、新規勧誘をおこなうとき、相手方に必ず概要書面を渡していると思います。

エナジックでいうと「入会のご案内」です。
「何をいまさら」とご立腹の読者もあるかもしれませんが、渡し忘れるとどうなるか、ご存知でしょうか?

 正解を申し上げると、渡し忘れただけで「逮捕」されます。
もちろん、消費者庁等の行政処分の対象にもなります。

不備書面の交付でも逮捕

 実際、「書面交付を忘れただけ」の逮捕事件が何件も起こっています。

 直近でいうと、2019年12月20日に、名古屋市のU社の社長と従業員1人が、特定商取引法違反(書面の交付義務違反)で、愛知県警に逮捕されました。

 高齢者に対して、「終活支援サービス」の訪問販売をおこなっていましたが、クーリング・オフについて記載した書面を渡していませんでした。
これだけで"アウト"になってしまったのです。

 同年12月15日には、和歌山県警が、消火器の訪問販売をおこなっていた、大阪府の男2人を逮捕しました。

このさいも、特商法違反(不備書面の交付)容疑でした。
書面にクーリング・オフの記載がなかったということです。

 今回の2件は、たまたま連鎖販売取引が対象ではなく、契約内容を明らかにして契約後遅滞なく交付する「契約書面」の不備が指摘された事件でした。

ただ、連鎖販売取引の概要書面の不交付を理由に、会員が逮捕される事件は、再々起こっており、今後、起こっても何の不思議もありません。

 概要書面の不交付は、6カ月以下の懲役刑や、100万円以下の罰金刑に問われる「立派な犯罪」です。

 概要書面は「連鎖販売業の概要について記載した書面」です。

エナジックビジネスがそうである、連鎖販売の場合、「商売の経験が乏しい個人」が契約を結ぶことが少なくないため、契約内容を熟知しないまま契約を締結し、相手方が不利益を被る恐れがあります。

 そのため、「どんな契約を結ぼうとしているのか」を明記した書面を、契約前に交付しなければならないことになっているのです。

概要書面は全項目の記載を

 概要書面には、赤字・赤枠でクーリング・オフに関する事項が書かれています。

商品のことや会社のこと、報酬プランの計算方法、中途解約返品ルールなども書かれています。

これらはすべて法律で「書かなければならない」と決められています。
一つでも記載がなければ違反です。

もっというと文字の大きさが少し小さいだけでも、逮捕や処分の対象になります。

 特商法上、概要書面は「交渉に入ってから契約を締結するまでの間」に交付しなければなりません。

「契約後」に渡すのは明確な法律違反です。
概要書面は確実に遅滞なく、契約前に相手方へ渡すようにしてください。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 2019年の年の瀬に、また、ネットワークビジネス(NB)企業に対する行政処分がおこなわれました。

関東経済産業局は12月16日、全身美容機器や浴槽用水素水生成機器などを商材にNBをおこなっていたY社に対して、特定商取引法に基づき6カ月間の取引等停止命令を出したのです。

関連会社に対しても3カ月間の取引停止命令をおこないました。

「月60万円の収入」は違反

 認定した違反事実は、[1]氏名等の明示義務違反、[2]断定的判断の提供――
の2点だけと、シンプルです。

「氏名等の明示義務違反」については前回でも詳しく説明しましたので、今回は触れません。

ちょっと聞きなれないかもしれない「断定的判断の提供」という違反行為について詳しく紹介したいと思います。

 「断定的判断の提供」は法律上、「連鎖販売取引につき利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供して契約の締結について勧誘すること」と定義されています。

つまり、本来は儲かるか儲からないか、水ものであるはずなのに、「確実に儲かる」などと言って勧誘すると、この定義に違反することになるのです。

 では、今回の行政処分では、どのような発言が違反に当たると判断されたのでしょうか。

一つの事例では、会員が消費者に対して、「サロンの開業には250万円ほどがかかる」旨を伝えたところ「負担が難しい」と断られてしまいました。

 これに対して会員は「カードローンを使えば良い。やっていけば必ず成功して半年で返済できる」と勧誘し、消費者は仮契約しました。

しかしその後、「契約はできない」と伝えた消費者に、「一人誘ったら36万円、物販は代金の25%が貰えるから、すぐ返済できる」などとさらに説得しました。

この一連の説得が「断定的判断の提供」に当たると判断されたのです。

 もう一つの事例では「1カ月収入60万円」「そのほか、商品を売れば100万円以上も取れる」「200万円なんて1年で返せるよ。頑張れば半年だよ」などと伝えた行為が違反と認定されました。

当然の表現にも注意を!

 ややさかのぼりますが、2005年に出された行政処分では、「頑張れば儲かる」という表現が、「断定的判断の提供に当たる」とされたこともあります。

「頑張れば......」というのはある意味、当たり前の表現のような気もしますが、気をつけなければなりません。

 当時の報道によると、行政当局は「『頑張れば儲かる』が必ずしも違法というわけではなく、前後関係から『頑張ればほぼ必ず儲かる』というニュアンスが明らかだったため指摘した」と説明していたようです。

 「頑張れば」という条件を前に付けたとしても、やはり「確実に」と誤認させると、違反と判断されることになります。
十分に注意しましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 中部経済産業局は2019年9月12日、健康食品をネットワークビジネスで販売するブレスに、特定商取引法(連鎖販売取引)に基づき、6カ月間の取引停止命令を出しました。

この行政処分からは学ぶべき教訓が多いので、詳しくみてみましょう。

 ブレスについて今回認定された違反行為は、
[1]氏名等の明示義務違反、
[2]勧誘目的を告げずに誘引した者に対する公衆の出入りする場所以外の場所での勧誘(「公衆の出入りしない場所での勧誘」という意味)、
[3]概要書面の交付義務違反――の3点です。

概要書面は忘れず渡す

 一番わかりやすい違反は、[3]の「概要書面の不交付」です。

勧誘のさいに会員が、概要書面を渡し忘れたケースがあれば、たった一人の会員の、たった1件の事例であっても、この違反は成立してしまいます。

勧誘のさいには、概要書面などの書類を、絶対に忘れることなく、渡すようにしましょう。

 [1]「氏名等の明示義務違反」については、少し前にも詳しく説明しました。

もう一度簡単に説明すると、特商法では、連鎖販売取引の勧誘に先立って、相手方に対して、
[1]社名・氏名、
[2]特定負担(仕事を開始するに当たって必要となる商品購入や入会金など何らかの金銭負担。
エナジックの場合、レベラックや還元ウコンΣを購入すること)が伴う取引の契約の勧誘が目的であること、
[3]商品・役務の種類
――の3点を明示しないといけないと定めています。

 今回の事例では、会員が、消費者に対して「将来ちょっと不安で、もう一個仕事始めたんやけど」「真剣に取り組んでやっている仕事だから、どうしてもお前と一緒にやりたい」「一回、話を真剣に聞いてくれ」
などとSNSでメッセージを送り、面会の約束を取り付けた行為が違反に認定されました。

 このことについて行政当局は「特定負担を伴う取引の勧誘であることが明らかではない」「商品の種類を明らかにしていない」
という理由で特商法違反だと断じています。

アポ取りの段階で、必ず3つの告知義務を果たすようにしてください。

勧誘目的は事前に告知!

 [2]の「公衆の出入りしない場所での勧誘」については、「初めて聞いた」という人もいるでしょう。

「公衆の出入りしない場所」というのは、一般の人が普通に出入りしない場所ですから、たとえば「ホテルのセミナー会場」などがそれにあたります。

勧誘目的を告げずにセミナーに消費者を連れ出すと、違反と認定されます。注意が必要です。

 今回のケースでは「〇〇っていうところで説明会的なやつをやってるんだけど、仕事の環境を見てもらいたいから一緒に行こう」
とSNSでセミナーに誘った行為が違反と認定されました。

勧誘目的を告げずにセミナーに連れ出す行為は、非常に危険です。
絶対におこなわないようにしてください。


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 今回は「重要事実不告知」という、特定商取引法(特商法)上の違反行為について解説してみましょう。

特商法では、「契約するかどうかに関わるような大切なこと」について、「本当のことを言わない」行為を「重要事実不告知」として、重大な違反と定めています。

したがって違反者は重い罰則の対象となります。

 具体的にいうと、3年以下の懲役や最長2年の業務停止命令の対象になる可能性もあるのです。

重要事実不告知は重大違反

 どんな事実を告げないと違反になるのか、ここ1~2年の行政処分事例をみてみましょう。

 2019年3月に、結婚相手紹介サービスの訪問販売をおこなっていたV社が3カ月の業務停止命令を受けました。

このときは、既婚者や退会者であるにもかかわらず、それらの写真を差し出しながら「こういう人がおるで、息子さんにどうですか」などと告げていたことが、重要事実不告知に問われました。

 言われた人は、「こういう人と見合いができるのか」と勘違いしたことでしょう。
しかしながら、見合い相手について本当の情報を告げなかったことが違反に問われ、処分を受けたのです。

 エコロジーな給湯器として最近人気のエコキュートを販売する訪販事業者N社が、18年3月に6カ月の業務停止命令を受けました。
そのさいには、コストの試算方法が問題になりました。

 エコキュートの場合、約10年ごとに更新が必要で、そのさい結構な額の費用が必要になります。

それなのに、ガス給湯器からエコキュートへの切り替えのメリットの説明をするさい、更新費用を計上しない計算式で、両者のトータルコストの比較を示していたことが、重要事実の不告知に問われたのです。

消費者はきっと、「エコキュートの方がお得だ」と勘違いしたことでしょう。

「めっちゃいいよ」でも違反

 ビジネススクールの役務をネットワークビジネスで販売するI社が2018年2月に6カ月間の業務停止を命じられた案件では、消費者への勧誘のさいに、

「儲かっている。めっちゃいいよ」
「月々2万1,600円払っても黒字になる」

などというだけで、特定利益が得られる可能性の乏しさや困難さを告げていなかったことが、重要事実不告知だと認定されました。

消費者は、「自分も簡単に儲けられる」と勘違いしたことでしょう。

 上記事例に共通するのは、勧誘する側が、勧誘途中に、「あっ、この消費者、勘違いしているな」と気付いたであろうことです。

その勘違いを、「まっいいや、その方が買ってくれそうだし」と放置すると、重要事実不告知という重大な違反行為として処罰・処分を受けることになります。

 重要事実不告知の処分例は、他にもたくさんあります。

「あっ、勘違いしているな」と思ったら、その瞬間に、本当のことを話し、消費者の誤解を解くようにしましょう。


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 消費者庁は2019年9月27日、「特許権を取得した通信機器で収益を得られるなどとうたい、高額の投資をさせる事業者に関する注意喚起」という文書を発表し、問題の事業者の名前を公表しました。

 行政処分をおこなった企業の名前を公表するのは一般的ですが、処分されてもいない事業者の名前を公表するのは異例です。

今回の注意喚起・社名公表は、消費者庁の設置に伴い2009年に施行された「消費者安全法」という法律に則ったものでした。

 社名公表の対象になったのは、LED高速通信(以下L社)という会社です。
L社は、各地で「LED高速通信機器(以下LED機器)」と呼ばれる商品に関するセミナーを開催し、「加盟店」を募集していました。

しかし募集にあたってウソの説明(不実告知)が確認されたことから、消費者庁は社名公表に踏み切りました。

ウソだらけの事業内容

 L社との加盟店契約は、
[1]契約者は、L社からLED機器を32万4,000円で購入、
[2]契約者は加盟店協力金として21万6,000円をL社に支払う、
[3]購入した商品は契約者には引き渡されず、L社が運用、
[4]契約者は、運用によって得られた収益の一部を受け取る
――という内容になっていました。

 消費者庁が不実告知と認定したのは以下のようなことです。
たとえばL社は、LED機器について特許を取得していると説明していましたが、取得していませんでした。

 また、「加盟店契約をすれば、半年から1年後には、LED機器の取り扱いによる売り上げを案分した金銭を定期的に受け取ることができ、すでに金銭を受け取っている消費者もいる」かのように説明していました。

 しかし実際にはセミナー開始時点でLED機器は1台も製造されておらず、売り上げを案分した金銭も支払われていませんでした。

加盟店契約をした消費者に対して、数回にわたり1~2万円程度を支払っていましたが、LEDの運用収益からの支払いではありませんでした。

公表は被害防止のため!

 消費者庁では、こうした事実を確認し注意喚起をおこなったのです。

 通常こうした事案では、特定商取引法などによる処分がおこなわれることが多いのですが、今回は(10月2日時点で)実施されていません。

処分がおこなわれないのは、19年8月までの2年5カ月で64件と、L社関連の相談件数が少数にとどまっているからかもしれません。

 このような投資型案件の場合、事業が破綻し支払いが滞ってから、相談件数が急増する傾向があります。

 今回、消費者庁は、
[1]L社が自転車操業であることは明らか、
[2]将来的に多くの消費者被害を生む可能性が高い
――と認定し、被害の拡大を未然に防ぐ意味も含め社名公表に踏み切りました。

こうした投資型の案件は、全国的にも増加傾向にあります。
皆さんも、だまされないよう、くれぐれも注意してください。


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 消費者庁が所管する独立行政法人の国民生活センター(以下、「国セン」と略)は2019年8月、「『お金がない』では断れない!きっぱり断りましょう――断っても借金させてまで強引に契約を迫る手口にご注意」という注意喚起の発表をおこないました。

いったいなぜなのでしょうか。
「お金が支払えない」などと言って断っている消費者に、借金をさせたり、クレジットを組ませたりして、強引に契約を結ばせる手口が増えているからだということです。

 そうした手口が特定できた相談件数は、2016年が562件、17年が589件、18年が642件と、年々増えています。

今年4月~7月末の相談件数は195件で、これも前年同時期比で71件増えています。

「国セン」発表の悪質事例

 国センによると、こんな事例がありました。
ある消費者が大学の友人から投資関連のソフトについて勧誘を受けたさい、約50万円と高額だったことから、「お金がない」と一度断りました。

 ところが、その友人は「みんな借金して契約している。儲かるからすぐに返済できる。留学するためとウソをつけばいい」と、さらに強引に勧誘しました。
その消費者はとうとう断り切れず、貸金業者から借金し契約を結んでしまったのです。

 これ以外にも、「支払い困難と伝えたが個別クレジットの分割払いでエステ等複数の契約をさせられた」「『借金してでもやった方がいい』と言われ、貸金業者の店に連れていかれ、お金稼ぎに関する情報商材の契約をした」といった事例が紹介されています。

 そのほかにも、「断っている人に強引に勧誘している」「ウソをつかせて契約させるなど、問題のある借金・クレジット契約をさせている」「資金力がない人に対して勧誘を行っている」「支払いきれないほど高額な契約をさせる」

といった事例を紹介したうえで、国センは、「深刻な相談事例が寄せられている」と指摘し、今後も問題視していくと強調しています。

法規制の強化の可能性も

 断っている人を強引に勧誘すれば、特定商取引法の再勧誘規制に抵触する可能性があります。

また、17年12月には連鎖販売取引などについて、
[1]消費者の意に反してATMなどに連行する行為、
[2]クレジットや借入の申し込みの書面で支払い能力を虚偽申告させる行為、
[3]クレジット・借入・預貯金引出などをさせるため、「迷惑を覚えさせる勧誘」をする行為――等々が、特商法違反に当たることが明示されました。

 つまり、「お金がない」と言っている人を強引に勧誘することは、いろいろな意味で違法行為に当たる可能性があるのです。

 国センのような行政機関が今回のような発表をするときには、裏の意図が隠されている場合があります。

つまり、借金やクレジット契約にまつわる不正勧誘に対する法執行が強化されたり、法規制のさらなる強化が議論されたりする可能性があるのです。

「強引な勧誘はしない」ということを、常日頃から心がけましょう。