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新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 あなたは「キャンペーン」という言葉にどんなイメージをお持ちですか。
「お買い得」「楽しげ」で、どんな内容か知りたくなりませんか。

でも、絶対にお近づきになりたくない、恐ろしいキャンペーンが一つだけあります。
それが、警察のキャンペーンです。

 警察内部で「キャンペーン」と呼んでいるかどうかは定かでありませんが、警察はときどき、「キャンペーン」的に、ある種の犯罪を、重点的に取り締まります。

「コロナ」で次々に摘発!

 一番分かりやすい例を挙げると、2011年3月11日の東日本大震災後、「放射能に効く」とうたって商品を販売していた、事業者の逮捕・書類送検事件が何件も立て続けに起こりました。

「放射能に効く」とうたう事業者を、重点的に取り締まるキャンペーンをおこなっていたのでしょう。

 そして現在、警察では、"コロナキャンペーン"の真っ最中だと考えられます。
その「証拠」を以下に示してみましょう。

 大阪府警は2020年7月7日、「新型コロナウイルスに効く」とうたって、漢方薬を訪問販売していた、M堂の経営者ら4人を特定商取引法違反の容疑で書類送検しました。

 直接の逮捕容疑は、書面不交付と書面記載不備です。
従業員が高齢者宅を訪問し、「この薬はコロナに効く」などと販売していたのを、親族が不審に思い、警察に通報したといいます。

それがきっかけになり、契約書面を交付しなかったことや、クーリング・オフなどが記載されていない書面を交付したことが確認されたということです。

「コロナに有効」は絶対NG!

 同じ7月7日、警視庁生活環境課も「新型コロナウイルスに効果がある」などといってサプリメントの宣伝をしていた、エステ店の女性経営者ら3人を、薬機法(旧薬事法)違反の疑いで書類送検しました。

 ウェブサイトで「コロナ対策にもがん予防にも免疫力を上げる」などとうたい、それを見て来店した客に商品を販売していたというのです。

 さらに千葉県警は2020年6月、日本では未承認の中国漢方薬が「新型コロナウイルスに有効」などと宣伝していた中国籍の整体師の男を書類送検しました。

彼は自分の整体院の前に「中国がコロナに有効と認定した漢方」などと記載した看板を掲げて、事業をおこなっていたといいますから、同情する余地は、あまりなさそうですね。

 これだけ立て続けに、警察が「コロナ」関連で「動く」というのは、もはや"コロナキャンペーン"を実施中といってもよいでしょう。

 こんなキャンペーンの「対象者」にならないよう、くれぐれも気を付けましょう。


新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 2020年5月に、連鎖販売取引事業者に対する行政処分が2件、相次ぎました。

 5月21日、東京都は金融系の商材で連鎖販売取引をおこなっているA社に対し、特定商取引法に基づき3カ月間の業務停止命令を出しました。

 29日には、今度は消費者庁が英会話教材を扱うB社に対して、3カ月間の業務停止命令をおこないました。

行政は、キャンペーン的に、特定の業態の事業者に対する処分を連発することがあります。
法令順守の意識を、さらに高く持つ必要があります。

「勧誘目的」を明示しよう!

 A社の処分では
「勧誘目的不明示」
「重要事項不告知」
「適合性原則違反」
「支払い能力虚偽申告教唆」――
の4項目の違反が認定されました。

 一方、B社の処分では
「勧誘目的不明示」
「勧誘目的を告げずに誘引した者に対する公衆の出入りしない場所における勧誘」
「書面不交付」
「断定的判断の提供」――
の4項目の違反が指摘されました。

 このように、両社とも多岐にわたって違反が認定されているため、すべてについに触れることはできません。

そこで2点だけ説明しておきましょう。

 一つ目のポイントとしては、両社とも「勧誘目的の不明示」を指摘されていることが挙げられます。

勧誘する人に実際に会ってからではなく、電話やライン、メールなどでアポイントメントを取る段階で、「ネットワークビジネスの勧誘であること」と社名、氏名を告げておく必要があります。

 B社の場合は、勧誘目的を明確に告げずに、会社の事務所に誘い出して勧誘を実施したことから、「公衆の出入りしない場所における勧誘」という別の違反も認定されました。

 誘い出す場所がたとえばセミナー会場であったとしても、事前に勧誘目的を告げていなければ、この違反に当たります。注意しましょう。

 A社の処分では、「適合性原則違反」と「支払い能力虚偽申告教唆」の違反が問われました。

これが二つ目のポイントです。

適合性原則というのは、「知識・経験・財産に照らして不適当と認められる勧誘」を禁止するものです。

「金欠」の人の勧誘はNG

 A社の場合、「お金がない」と言っている大学生に対して金融系商品に関する連鎖販売取引を勧誘するなどしており、適合性原則違反に当たると認定されました。

 またA社の会員は、お金のない人を勧誘するに当たって借り入れを勧めており、「借り入れの理由」や「収入」について虚偽の申請をするよう助言していました。

こうした点が「支払い能力虚偽申告教唆」の違反にも問われたのです。

 コロナ不況の到来がいわれる中、〝健全なネットワークビジネス〟は、時代に求められるビジネスといえます。

こんなときだからこそ、ちょっとした違反も犯さないよう、細心の注意でビジネスに取り組みましょう。


新コンプライアンスシリーズ
わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 ここ数カ月は、新型コロナウイルスのことばかりに頭が行きがちですが、そんな中、消費者庁など行政当局は着々と取り組みを進めています。

関連して最近、消費者行政で気になる動きが三つありましたので、順を追ってお伝えしましょう。

[1]特商法と景表法でダブル処分

 2020年3~4月にかけて、埼玉県が異例の行政処分をおこないました。

同県はまず3月31日に、サプリメントの通信販売をおこなっていたN社に誇大広告があったとして、景表法(景品表示法)に基づく措置命令を出しました。

そしてその翌日(4月1日)には、特商法(特定商取引法)に基づき、3カ月間の業務停止命令を出したのです。

 同じ会社に対して2日続けて、違う法律で処分を出すというのは極めて異例です。
ただ、法律上、一つの法律で処分を受けたからといって、別の法律の適用を妨げられるわけではありません。

ともあれこれは、消費者庁だけでなく、地方自治体でも「執行強化」「厳罰化」が進んでいることを端的に示す事例といえるでしょう。

 「たった一つの違反」が、二度も三度も処分を受ける〝大事(おおごと)〟になってしまうかもしれません。
そんな思いで、襟をただしてビジネスに取り組んでいきましょう。

[2]消費者庁が措置命令を初の取り消し

 消費者庁は2020年5月15日、景表法に基づき19年3月におこなった、サプリメント販売会社Y社に対する措置命令を取り消すと発表しました。

消費者庁が措置命令を取り消すのは今回が初めてで、処分の取り消し自体、極めて異例です。

 取り消しは、「違反表示を行っていたと認定した期間に誤りがあったから」ということです。

誤りをそのまま放置して、事業者に訴えられれば、消費者庁が訴訟に負ける可能性も十分にありましたから、「防衛のためやむなく」という側面があったのでしょう。

 ただ、消費者庁が今後、表示期間を認定し直し、改めて処分を出し直す可能性は残っています。

そんなことになれば、事業者にとっては、再び社会的制裁を受けることになり、泣きっ面に蜂といえなくもありません。

[3]特商法改正強化の議論が進展

 現在、特商法改正の議論が消費者庁の検討会で進展しており、2020年5月19日には、第3回会合が、ウェブ会議方式で実施されました。

預託商法や通販の「勝手に定期購入」が、規制のメーンターゲットとみられており、現状は、預託商法の規制方法の検討が議論の中心となっています。

ただ〝おまけ〟的に連鎖販売や訪販関連の規制が強化される可能性も十分にあります。

特に、若年者・高齢者に対する〝付け込み型〟勧誘や、消費者に借金をさせて販売する手法などに対する規制は、強化される可能性がありそうです。

引き続き議論の進展を注視していきましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 東京都は2020年3月25日付で、投資学習用USBメモリーをネットワークビジネス(NB)で販売していた3事業者に対して、特定商取引法に基づく行政処分をおこないました。

 そのうちの1社である、I社に対しては、6カ月間の業務の一部停止を命じました。

認定された違反行為は、
[1]勧誘目的等不明示、
[2]不実告知(商品の性能)、
[3]迷惑勧誘、
[4]適合性原則違反、
[5]支払い能力虚偽申告教唆
―の5点です。

違反のオンパレード!

 まるで違反のオンパレードを繰り広げたかのようなこの会社は、為替相場に投資するバイナリーオプション取引の学習用プログラミングツールを内蔵したUSBなどをNBで販売していました。

「AIが入ったUSBだから勝てる」などと言っていたのに、システムに人工知能が搭載されていなかった点などが不実告知と認定されました。

 健全なNBを展開するにあたって、この処分にはいくつか教訓とすべき点がありますので、順を追ってみていきましょう。

[1]「適合性原則違反」について
 「消費者の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘」をおこなうのが、適合性原則違反です。

今回は投資経験も収入・財産もない学生に投資関連商品を販売したことがこの違反に問われました。

認知症の高齢者や、知識・経験の乏しい若年者を勧誘することも、この違反に問われます。注意しましょう。

[2]「支払い能力虚偽申告教唆」について
 今回の処分では、消費者が購入資金を貸金業者から借り入れるにあたって、借入理由を「自動車購入」にすることや、年収を「百何十万」にすることを指示し、虚偽の申告をさせていたことが違反に問われました。
借り入れの書類に虚偽の申告をさせるのは立派な違反行為です。

[3]「迷惑勧誘」について
「複数日にわたり3時間以上の勧誘を行う」ことが、迷惑勧誘に問われました。

「長時間」「深夜・早朝」「執拗」といった勧誘は違反に問われやすいので注意しましょう。

[4]都道府県による処分について
 最近の傾向として、消費者庁などの国家機関だけでなく、都道府県による処分も増えています。

東京都が2019年度に出した、特商法に基づく業務停止命令の件数は、前年度比5件増の12件となっています。

[5]投資型ビジネスがNB組織に拡散する危険について
 今回違反が指摘されたような、投資型のビジネスは、健全なNBの組織内でも広がりやすいといわれています。

上位の会員が勧誘を始めてしまい、傘下の会員がまるごと騙されてしまうケースも少なからずあるようです。

そうした兆候を感じたら、会社に相談するなど、適切に対処しましょう。


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 「新型コロナウイルス対策」をうたう商品をめぐって、ついに検挙事例が発生しました。

 報道によると2020年3月31日、警視庁生活環境課が健康食品販売会社のN社と社長ら2人を、薬機法(旧薬事法)違反で書類送検したということです。

 同社のホームページで、医薬品の承認を受けていないサプリメントについて、「新型コロナウイルス対策」「(ウイルスの)増殖を抑制する」などと広告したことなどが、検挙の主な罪状だと報じています。

消費者庁も二度目の警告!

 早晩、こういった検挙事例が生まれる日が来ると思っていましたが、警察の動きは予想以上に早かったという印象を受けます。

おそらくこの1件で打ち止めではなく、2件、3件と検挙(逮捕)事例が積み重なっていくでしょう。

 消費者庁もまた、2020年3月27日に、新型コロナウイルスに対する予防効果をうたって健康食品やアロマオイルなど41商品を販売していた34社について、改善要請をおこなったことを明らかにしました。

これは2020年3月10日の発表に次ぐ2回目の改善要請で、合計すると、何と延べ61事業者84商品に対して改善要請を出したことになります。

 今後も消費者庁などは改善要請や行政処分等々を実施していくと思われます。

健康・衛生商品を扱う場合は襟をただし、適正な商品説明・提案に努める必要があります。

 「いや、商品の効果には自信がある」という人もいるでしょう。

自信を持つことは悪いことではありませんが、現時点で新型コロナウイルスへの有効性が科学的に証明された商品はありません。

[1]強酸性水には除菌効果がある、
[2]還元水の飲用は胃腸症状の改善に効果的
――というところまでは言っても構わないでしょうが、それを超えると、明らかに法律違反になります。

適正トークを心がけよう!

 にもかかわらず、「新型コロナウイルス予防に効果的」
などといった商品説明をおこなっていると、説明した本人がいつ逮捕されてもおかしくありません。

業務停止命令などの行政処分を受ける可能性も十分あります。

 処分は会社だけでなく、勧誘した個人に対して出されることもあります。
行政・警察は「新型コロナウイルス対策」をうたう商品群を確実に問題視しています。

わらにもすがる思いで商品を購入する消費者の弱みにつけこむ販売方法を行政は決して見逃しません。

 2011年3月の東日本大震災に伴う、原発事故・放射能汚染のさいも、「放射性物質を除去できる」などとうたい商品を販売していた事業者が薬事法(現薬機法)違反で相次いで逮捕されました。

 新型コロナウイルスについても、同様の事態が発生しつつあります。
くれぐれも、適正な商品説明を心掛けましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 国民生活センター(以下国セン)は2020年2月28日付で、「新型コロナウイルスに便乗した悪質商法にご注意!(速報)」と題した、注意喚起の報道発表をおこないました。

こういった発表が出されたさいには、その後、見せしめ的な行政処分・逮捕がおこなわれるケースが多く、いっそう注意が必要です。

 自社の商品にどんなに自信があったとしても、法律で認められた範囲を逸脱するようなトークは絶対にしないようにしましょう。

国民生活センターの警告

 国センの注意喚起では「新型コロナウイルスの感染拡大に関連した相談が、全国の消費生活センター等に寄せられて」いると指摘。

代表的な事例として「マスクを無料送付するといったメッセージがスマートフォンに届いた」「新型コロナウイルス流行拡大の影響で金の相場が上がるとして、金を買う権利を申し込むように言われた」の二つが挙げられています。

 国センとしては今回、ひとまず速報としてあくまで代表例を挙げただけでしょう。

つまり、各消費生活センター等の窓口には、新型コロナウイルス関連で、より多種多様な相談が寄せられていると考えられるのです。

 その中には「『新型コロナウイルスには、この商品が有効』と言われて商品を購入してしまった」といった相談も含まれていることが、容易に想像されます。

 最近の法改正の議論などをみるに、消費者庁は、消費者の弱みを見越しておこなう"つけこみ型勧誘"をたいへん問題視しています。

「新型コロナウイルスの感染・罹患からなんとか逃れたい」という、いま最もありがちな人の心理に付け込むような勧誘は、そのつけこみ型勧誘の典型例とみられても仕方ありません。

 現時点で、なんらかの商品について「新型コロナウイルスに有効」という説明をおこなうことは、せっけんや消毒用アルコールなど一部の衛生品を除いて、ほとんどのケースがオーバートークになってしまうと考えられます。

 なぜなら、新型コロナウイルスについて、まだ十分な医学的・科学的な分析結果がなく、したがって特定製品の有効性が立証されたわけでもないからです。

オーバートークは禁物 !

 強酸性電解水に除菌効果があり、還元水の飲用が胃腸症状の改善に効果的である――
とまではいえると思いますが、そこを一歩踏み越えると、現時点では、オーバートークと判断されると考えた方がよいでしょう。

「新型コロナウイルスにも効くの?」と聞かれると、「はい、効きます!」と答えたくなる気持ちは分かります。

しかし、ここはぐっと我慢して「未知のウイルスなので、有効か無効かは現時点ではまだ分かりません」と正直に答えましょう。

それが、長い目で見て、相手からも社会からも、信頼を得る方法だと思います。
繰り返しますが我慢ですよ。我慢!


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 皆さん、新規勧誘をおこなうとき、相手方に必ず概要書面を渡していると思います。

エナジックでいうと「入会のご案内」です。
「何をいまさら」とご立腹の読者もあるかもしれませんが、渡し忘れるとどうなるか、ご存知でしょうか?

 正解を申し上げると、渡し忘れただけで「逮捕」されます。
もちろん、消費者庁等の行政処分の対象にもなります。

不備書面の交付でも逮捕

 実際、「書面交付を忘れただけ」の逮捕事件が何件も起こっています。

 直近でいうと、2019年12月20日に、名古屋市のU社の社長と従業員1人が、特定商取引法違反(書面の交付義務違反)で、愛知県警に逮捕されました。

 高齢者に対して、「終活支援サービス」の訪問販売をおこなっていましたが、クーリング・オフについて記載した書面を渡していませんでした。
これだけで"アウト"になってしまったのです。

 同年12月15日には、和歌山県警が、消火器の訪問販売をおこなっていた、大阪府の男2人を逮捕しました。

このさいも、特商法違反(不備書面の交付)容疑でした。
書面にクーリング・オフの記載がなかったということです。

 今回の2件は、たまたま連鎖販売取引が対象ではなく、契約内容を明らかにして契約後遅滞なく交付する「契約書面」の不備が指摘された事件でした。

ただ、連鎖販売取引の概要書面の不交付を理由に、会員が逮捕される事件は、再々起こっており、今後、起こっても何の不思議もありません。

 概要書面の不交付は、6カ月以下の懲役刑や、100万円以下の罰金刑に問われる「立派な犯罪」です。

 概要書面は「連鎖販売業の概要について記載した書面」です。

エナジックビジネスがそうである、連鎖販売の場合、「商売の経験が乏しい個人」が契約を結ぶことが少なくないため、契約内容を熟知しないまま契約を締結し、相手方が不利益を被る恐れがあります。

 そのため、「どんな契約を結ぼうとしているのか」を明記した書面を、契約前に交付しなければならないことになっているのです。

概要書面は全項目の記載を

 概要書面には、赤字・赤枠でクーリング・オフに関する事項が書かれています。

商品のことや会社のこと、報酬プランの計算方法、中途解約返品ルールなども書かれています。

これらはすべて法律で「書かなければならない」と決められています。
一つでも記載がなければ違反です。

もっというと文字の大きさが少し小さいだけでも、逮捕や処分の対象になります。

 特商法上、概要書面は「交渉に入ってから契約を締結するまでの間」に交付しなければなりません。

「契約後」に渡すのは明確な法律違反です。
概要書面は確実に遅滞なく、契約前に相手方へ渡すようにしてください。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 2019年の年の瀬に、また、ネットワークビジネス(NB)企業に対する行政処分がおこなわれました。

関東経済産業局は12月16日、全身美容機器や浴槽用水素水生成機器などを商材にNBをおこなっていたY社に対して、特定商取引法に基づき6カ月間の取引等停止命令を出したのです。

関連会社に対しても3カ月間の取引停止命令をおこないました。

「月60万円の収入」は違反

 認定した違反事実は、[1]氏名等の明示義務違反、[2]断定的判断の提供――
の2点だけと、シンプルです。

「氏名等の明示義務違反」については前回でも詳しく説明しましたので、今回は触れません。

ちょっと聞きなれないかもしれない「断定的判断の提供」という違反行為について詳しく紹介したいと思います。

 「断定的判断の提供」は法律上、「連鎖販売取引につき利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供して契約の締結について勧誘すること」と定義されています。

つまり、本来は儲かるか儲からないか、水ものであるはずなのに、「確実に儲かる」などと言って勧誘すると、この定義に違反することになるのです。

 では、今回の行政処分では、どのような発言が違反に当たると判断されたのでしょうか。

一つの事例では、会員が消費者に対して、「サロンの開業には250万円ほどがかかる」旨を伝えたところ「負担が難しい」と断られてしまいました。

 これに対して会員は「カードローンを使えば良い。やっていけば必ず成功して半年で返済できる」と勧誘し、消費者は仮契約しました。

しかしその後、「契約はできない」と伝えた消費者に、「一人誘ったら36万円、物販は代金の25%が貰えるから、すぐ返済できる」などとさらに説得しました。

この一連の説得が「断定的判断の提供」に当たると判断されたのです。

 もう一つの事例では「1カ月収入60万円」「そのほか、商品を売れば100万円以上も取れる」「200万円なんて1年で返せるよ。頑張れば半年だよ」などと伝えた行為が違反と認定されました。

当然の表現にも注意を!

 ややさかのぼりますが、2005年に出された行政処分では、「頑張れば儲かる」という表現が、「断定的判断の提供に当たる」とされたこともあります。

「頑張れば......」というのはある意味、当たり前の表現のような気もしますが、気をつけなければなりません。

 当時の報道によると、行政当局は「『頑張れば儲かる』が必ずしも違法というわけではなく、前後関係から『頑張ればほぼ必ず儲かる』というニュアンスが明らかだったため指摘した」と説明していたようです。

 「頑張れば」という条件を前に付けたとしても、やはり「確実に」と誤認させると、違反と判断されることになります。
十分に注意しましょう。


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流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 中部経済産業局は2019年9月12日、健康食品をネットワークビジネスで販売するブレスに、特定商取引法(連鎖販売取引)に基づき、6カ月間の取引停止命令を出しました。

この行政処分からは学ぶべき教訓が多いので、詳しくみてみましょう。

 ブレスについて今回認定された違反行為は、
[1]氏名等の明示義務違反、
[2]勧誘目的を告げずに誘引した者に対する公衆の出入りする場所以外の場所での勧誘(「公衆の出入りしない場所での勧誘」という意味)、
[3]概要書面の交付義務違反――の3点です。

概要書面は忘れず渡す

 一番わかりやすい違反は、[3]の「概要書面の不交付」です。

勧誘のさいに会員が、概要書面を渡し忘れたケースがあれば、たった一人の会員の、たった1件の事例であっても、この違反は成立してしまいます。

勧誘のさいには、概要書面などの書類を、絶対に忘れることなく、渡すようにしましょう。

 [1]「氏名等の明示義務違反」については、少し前にも詳しく説明しました。

もう一度簡単に説明すると、特商法では、連鎖販売取引の勧誘に先立って、相手方に対して、
[1]社名・氏名、
[2]特定負担(仕事を開始するに当たって必要となる商品購入や入会金など何らかの金銭負担。
エナジックの場合、レベラックや還元ウコンΣを購入すること)が伴う取引の契約の勧誘が目的であること、
[3]商品・役務の種類
――の3点を明示しないといけないと定めています。

 今回の事例では、会員が、消費者に対して「将来ちょっと不安で、もう一個仕事始めたんやけど」「真剣に取り組んでやっている仕事だから、どうしてもお前と一緒にやりたい」「一回、話を真剣に聞いてくれ」
などとSNSでメッセージを送り、面会の約束を取り付けた行為が違反に認定されました。

 このことについて行政当局は「特定負担を伴う取引の勧誘であることが明らかではない」「商品の種類を明らかにしていない」
という理由で特商法違反だと断じています。

アポ取りの段階で、必ず3つの告知義務を果たすようにしてください。

勧誘目的は事前に告知!

 [2]の「公衆の出入りしない場所での勧誘」については、「初めて聞いた」という人もいるでしょう。

「公衆の出入りしない場所」というのは、一般の人が普通に出入りしない場所ですから、たとえば「ホテルのセミナー会場」などがそれにあたります。

勧誘目的を告げずにセミナーに消費者を連れ出すと、違反と認定されます。注意が必要です。

 今回のケースでは「〇〇っていうところで説明会的なやつをやってるんだけど、仕事の環境を見てもらいたいから一緒に行こう」
とSNSでセミナーに誘った行為が違反と認定されました。

勧誘目的を告げずにセミナーに連れ出す行為は、非常に危険です。
絶対におこなわないようにしてください。


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わたしたちの法令順守宣言!

流通ジャーナリスト:大栗 準(おおぐり じゅん)

 今回は「重要事実不告知」という、特定商取引法(特商法)上の違反行為について解説してみましょう。

特商法では、「契約するかどうかに関わるような大切なこと」について、「本当のことを言わない」行為を「重要事実不告知」として、重大な違反と定めています。

したがって違反者は重い罰則の対象となります。

 具体的にいうと、3年以下の懲役や最長2年の業務停止命令の対象になる可能性もあるのです。

重要事実不告知は重大違反

 どんな事実を告げないと違反になるのか、ここ1~2年の行政処分事例をみてみましょう。

 2019年3月に、結婚相手紹介サービスの訪問販売をおこなっていたV社が3カ月の業務停止命令を受けました。

このときは、既婚者や退会者であるにもかかわらず、それらの写真を差し出しながら「こういう人がおるで、息子さんにどうですか」などと告げていたことが、重要事実不告知に問われました。

 言われた人は、「こういう人と見合いができるのか」と勘違いしたことでしょう。
しかしながら、見合い相手について本当の情報を告げなかったことが違反に問われ、処分を受けたのです。

 エコロジーな給湯器として最近人気のエコキュートを販売する訪販事業者N社が、18年3月に6カ月の業務停止命令を受けました。
そのさいには、コストの試算方法が問題になりました。

 エコキュートの場合、約10年ごとに更新が必要で、そのさい結構な額の費用が必要になります。

それなのに、ガス給湯器からエコキュートへの切り替えのメリットの説明をするさい、更新費用を計上しない計算式で、両者のトータルコストの比較を示していたことが、重要事実の不告知に問われたのです。

消費者はきっと、「エコキュートの方がお得だ」と勘違いしたことでしょう。

「めっちゃいいよ」でも違反

 ビジネススクールの役務をネットワークビジネスで販売するI社が2018年2月に6カ月間の業務停止を命じられた案件では、消費者への勧誘のさいに、

「儲かっている。めっちゃいいよ」
「月々2万1,600円払っても黒字になる」

などというだけで、特定利益が得られる可能性の乏しさや困難さを告げていなかったことが、重要事実不告知だと認定されました。

消費者は、「自分も簡単に儲けられる」と勘違いしたことでしょう。

 上記事例に共通するのは、勧誘する側が、勧誘途中に、「あっ、この消費者、勘違いしているな」と気付いたであろうことです。

その勘違いを、「まっいいや、その方が買ってくれそうだし」と放置すると、重要事実不告知という重大な違反行為として処罰・処分を受けることになります。

 重要事実不告知の処分例は、他にもたくさんあります。

「あっ、勘違いしているな」と思ったら、その瞬間に、本当のことを話し、消費者の誤解を解くようにしましょう。