炊きたてのつやつやした米を目の前にすると、思わず顔がほころぶものです。では、いい米をつくる決め手となるものは何でしょう? そう、澄んだおいしい水です。誰も汚れた水でつくられた米をおいしそうだとは思わないでしょう。そしてそれは、わたしたちのからだでも同じことが言えるのです。
からだの約2/3は水分からなります。この水分は、尿や便などのほか、汗や呼吸などの、意識せず排出される不感蒸泄で体外に出されますが、ものを飲んだり食べたりすることによって保たれています。摂取量にすれば、およそ飲料水で1.2リットル、食物で1リットル、食物代謝で0.3リットル、あわせて1日に平均2.5リットル程度にもなります。
これだけたくさんの水は、実際にからだの中でどんな働きをしているのでしょう。水分は摂取すると、ストレートに細胞に取り込まれ、化学反応の媒体、浸透圧バランス、pH調整、血液循環などに機能し、体内で起こるほとんどの作用に関係しています。体温を維持調節したり、栄養素を運んだり、不要なものを排出するのも、水分が大きく関わっていること。まさに命の源とも言える働きをしているのです。
大量の水が自分の中を流れ、あらゆる機能を支えていることを考えると、いきいきしたからだをつくるのに水がキーとなるということがイメージできるのではないでしょうか。
ここで冒頭の、水の質が米の質を左右するというたとえを思い出してください。同じ水を摂取するのでも、いい水を摂取したほうがからだが喜ぶはずです。WHO(世界保健機関)もすでに1955年、「きれいな水はよりよい健康のもと」という標語を掲げ、水による健康生活の重要性を説いています。
10数年前、水道水の汚染が社会的な問題となり、人々は安全な水を求め始めました。そしていま、ミネラルウォーターを買うのは当たり前となり、浄水器や各種機能水をつくる器械も普及しています。健康づくりには、水をきちんと摂取するとともに、その質も意識したほうがよいという時代になってきたようです。